☆ご指名遊戯☆【翼宿side】
□E☆ご指名遊戯☆
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☆ご指名遊戯☆
E
「琳琳<リンリン>でーす♡」
今や遅しと神秘の幕が上がり、姿を現した女神様。
赤地に金の鳳凰が刺繍された、ノースリーブの丈の短いチャイナドレス。
スリットからのぞく、すらりと伸びたおみ足が眩しい。
細い腰に、主張しない胸。
三つ編みを、右耳の後ろでひとつにまとめたお団子に、
あしらった赤い花飾りが、なんとも愛らしい。
親しみやすくも、気品ある雰囲気をまとい、
30度のお辞儀と共に舞い降りた天使が、その顔を上げた。
「ん?」
翼宿は首をかしげる。
「ん─────!?」
まじまじと、目の前に舞い降りた、
左目の下に泣きボクロのある、天使の顔を見る。
「……なんや、この顔にはイヤというほど覚えが……」
女は、笑顔を絶やさない。
「ん?リンリンちゃん、知り合いかなにか?
チェンジする?NGにしとく?出禁にする?」
こそっ、と、リンリンに耳打ちする店長。
「いーえー♡」
リンリンは、タレ目がちの目を細めて、ニコニコと、
笑顔を絶やさず、否定する。
「いやーねー♡お客サンッたらっ♡
こんなビジン、この世にふたりといるワケないでしょ!?
早速、口説いてきちゃってッ♡もうっ♡手も気も早いんだからッ♡
おほほほほ♡」
口元に、小指を立たせた手をやって、高笑いをする女神。
「ん〜、このぉ、図々しくも、実力に裏付けされたァ、この感じぃ〜」
見れば見るほど、浮き彫りになる、既視感。
「さ、さ♡お部屋に参りましょッ♡うみへびの間、ご案内しまーす♡」
翼宿の腕に自身の腕を絡ませ、ぐいぐい、と、
有無を言わさず、引っ張ってゆく。
「ハイ♡コチラになります♡そのままどーぞ♡」
リンリンは、仕切りの布を、シャッ、と、開けると、
翼宿と共に部屋の入り、また、シャッ、と、仕切りの布を閉めた。
「お外、寒かったでしょう?お部屋、寒くない?」
「ん?ああ……」
「はい、おしぼり、どーぞ♡」
「あ、ども…」
「お着換え、お願いね。脱いだ服は、その籠に入れてね。
貴重品は、そこ。鍵、かかるから。
鉄扇は、そこらへんに、立て掛けといて」
「あ、ハイ…」
「全て脱いだら、施術台に、うつぶせでお待ちくださいな♡
腰に、タオル巻いてね」
翼宿に、綺麗に三つ折りに畳まれた、焦げ茶色のタオルを手渡す。
「この、テキパキとー、無駄のないー、世話焼きな感じはー」
「じゃ、あたし、香油の準備してくるから♡
一度、部屋を出るわね。準備、お願いね」
リンリンは、一度部屋を出る。
翼宿は、服を全て脱ぎ、脱いだものは籠に入れ、
焦げ茶色のタオルを広げて腰に巻いた。
それから、貴重品の類を金庫に入れ、鍵をしめ、
金庫に入りきらなかった鉄扇は、部屋の端に立て掛けた。
そして、顔の部分に穴の空いている施術台、うつぶせになった。
「準備できたぁ?」
ちょうど、穴から顔をのぞかせたタイミングで、
仕切りの向こうからリンリンが声をかける。
「ああ」
「じゃ、失礼しまーす♡」
シャッ、と、仕切りの布がめくられる。
「お待たせいたしましたぁ♡」
シャッ、と、仕切りの布がしまる。
「では、マッサージ、始めていきますね♡よろしくお願いしまーす♡」
「ん」
施術台に、空いた穴から顔を覗かせたまま、返事をする。
「じゃ、上、失礼しまーす♡」
リンリンは、施術台の上に乗ると、
焦げ茶色のタオルを巻いた、翼宿の腰にまたがった。
「あーーーーーーーーーーーー!!?」
うみへびの間で、翼宿は大声をあげる。
「お前ッ──────────もごっ!!?」
翼宿が、施術台に空いた穴から上げた顔を、
リンリンが、空いた穴に押し戻す。
「はーい、他のお客様もいらっしゃいますので、
騒がないでくださいねー、バカみたいにー」
「その顔ッ!?その声ッ!?その口調ッ!?
思い出したっ!!お前ッ、柳宿やろっ!!?」
もごもご、と、施術台に空いた穴から顔を覗かせたまま、言う翼宿。
続