☆制服の恋人遊戯☆

□D☆制服の恋人遊戯☆
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♡制服の恋人遊戯♡

D

(美朱になりきったつもりだったんだけどぉ、
ちょっと、おふざけ……じゃなかった、
ちょっと、サービスが過剰だったかしらぁ??)

実は、まだ、
「声事変」から、中3日と空いていないのに、
逢えない時間が、もっと長く感じるのは、
この廊下の、端から端までの距離の如し。

「はぁ」

と、人知れず、ため息をつく。

のを、通りすがりの翼宿に見られていた。

「お、柳宿、どないした?
ため息をなんかつきよって。アノ日かぁ?」

「あんたッ、それしか言えないのぉ!!?
オンナ心の不調を、なんでもかんでも、
アレのせいにすんじゃないわよッ!」

(おっ♡ 殴るか〜!? 殴るか〜!?)

いざ、柳宿は翼宿をなぐらん、
いざ、翼宿は柳宿に殴られんとした、
まさに、その瞬間のその刹那─────、

「柳宿」

と、その憂い帯びた声に
慌てて握りこぶしを引っ込めて、
胸の前で手を組みなおし、
目をハート型にして、振り返る、柳宿。

「はぁい♡なんでしょう!?星宿様ッ♡」

「用がある。今すぐ───………、

ん?」

と、翼宿の顔を見る星宿様。

「ん?」

と、星宿様の顔を見る柳宿。

「ん?」

と、柳宿の顔を見る翼宿。

「ん?」

と、翼宿の顔を見る柳宿。

「ん??」

と、柳宿と目が合う翼宿。

(「ん??」じゃないわよッ!!皇帝陛下に、ご挨拶くらいしなさいよッ)

(お、おぉ、せやった!なんか、変なカンジで、忘れとった!あっぶなー)

(変なのはアンタだけよッ。ほらッ、早く!挨拶ッ!!)

(わーとっる!今、しよーしたんやっ!せかすなっ!)

「ご、ごきげんよう、

『元気ですかー』

『元気ですー。そちらさんはー?』

『元気ですー』

『ありがとう』」

「………」

「それじゃー、いつ、陛下が挨拶を返せばいーよッ!?

あんた、無礼だから、あんたは、本物の神剣の方で、
一回、ちゃんと、突かれればぁ!?」

「いや、柳宿、よい。
翼宿、私は元気だ。そなたの気遣いに感謝する」

「………」

「さすが、星宿様ッ♡ 気品と器が違うわぁ♡ オ・ト・ナッ♡」

(それに比べて…)

チラリ、と、翼宿を見やる。

(なんやねん)

と、翼宿が目で返す。

(別にぃ)

(あ!今、別にぃって目ェ、したやろっ!?お前!)

(したわよッ)

「……翼宿と、話していたのか?」

目と目で通じ合う二人に、星宿様が問う。

「いいえぇ♡ アタシと翼宿、ただの通りすがりですわッ♡
ホント、ちょっと振り向いて見ただけの、ホント、間柄ッ」

「左様であったか。
そうとは知らず、邪魔してすまなかったな」

「あっ!?星宿様ッ!!??

ちょっと、マッテ、行かないでッ!!マジでッ!
どちらにおいでで!!?

聞いてましたぁ!?アタシの話!?」

(なんや、コイツ)

「すっ、すぐに、お伺いいたしますわッ♡」

その怪力で星宿様の腕にすがる柳宿。

「そ、そうか、無理しなくてよいのだが……」

「全っ然♡ 無理なんかぁ♡」

「またでも、よいのだが」

「いまっ、お伺いさせて頂きますっ♡ なうっ♡ ヴィジットッッ♡」

「どちらでも、よいのだが、……では、後程」

「はぁい♡」

星宿様の腕を開放し、
見えなくなるまで、その背中に手を振る柳宿。

「じゃ、翼宿、見ての通り、
アタシ、星宿様に呼ばれちゃったから、行くわね」

「そんなシーン、あったか?」

「じゃっあね〜〜ッ♡♡」

翼宿に手を振り、廊下を渡りきり、どこかへゆく柳宿。

(なんやねん、アイツ。せめて、ヒトを一発、殴ってからいけや)

(たまは美朱の部屋やし)

(まーた、井宿と猫、ドッチがドッチ当てゲームするしかないやんけ。
8勝23敗やったな、たしか)

翼宿は退屈だった。



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