僕のヒーローアカデミア

□赤ずきんちゃん
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むかしむかし、ヒーロー達がたくさん住んでいる雄英村に、それはそれは美しい女性がおりました。

その女性は皆に愛され、幼い頃に着けていた赤色の頭巾から『赤ずきんちゃん』の愛称で呼ばれていました。

そんなある日のこと、赤ずきんちゃんが村道を歩いていると、八百万さんと蛙吸さんが立ち話をしていました。

「八百万さん、蛙吸さん、こんにちわ」

「あら、赤ずきんちゃん。貴方は元気そうね、ケロケロ」

雄英村は本格的な冬を迎えて風邪が流行っていたため、元気な赤ずきんちゃんに二人は愛おしそうに目尻を下げます。

「森に住んでいる麗日さんも風邪を引かれたそうですわ。私、お見舞いにと紅茶とお食事を準備したのですが、急な仕事が入ってしまいまして……すぐに伺えないのが気掛かりで」

面倒見の良い八百万さんは、麗日さんの事が心配であまり元気が無いようです。

「良かったら代わりに行って来ましょうか?私も心配ですし、麗日さんにはいつもお世話になっていますから」

赤ずきんちゃんの提案に二人は少し困っているようでした。

「赤ずきんちゃん、もう少しで日が暮れるわ。ヒーローが多く住む村とはいえ、この時間に森を半刻も一人で歩くのは危険だわ。私もこの後仕事があって一緒には行けないし……」

どうやら蛙吸さんもこの後仕事のようです。
すると赤ずきんちゃんが言いました。

「森を入ってすぐの緑谷さんのお家に寄って、緑谷さんに一緒に行ってもらえるようお願いしてみます。ね、それなら良いでしょう?」

元々有難い申し出だったので、八百万さんも「それならば……」と赤ずきんちゃんにお見舞いをお願いします。

「これはアールグレイの紅茶でーー」

先程までの元気の無さはどこへやら、八百万さんは赤ずきんちゃんへの引き継ぎに気合いが入ってぷりぷりしています。

「赤ずきんちゃん、お茶子ちゃんのお見舞いが済んだら早く帰ってきてね。風邪を引いてもいけないし」

「そうですわ。それに赤ずきんさんは狼にも気をつけませんと」

「緑谷ちゃんなら問題ないんじゃないかしら?」

二人は最後まで赤ずきんちゃんの心配をしていましたが、時間がきたので後ろ髪を引かれながらも職場へと向かって行きました。
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