僕のヒーローアカデミア

□瀕死の際
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爆豪勝己の場合ーー


敵掃討作戦の任務にあたっていた名前は、森の中で力無く横たわっていた。


あぁ、目が霞んできた。皆から離れたところで戦ってたから、暫く助けは来ないだろうし……私もここまでなのかなーー


ガサガサッ

先程から段々と近づいてくる気配がすぐ側に感じられた時、近くの茂みが揺れる。

「……こんなとこにいたんか」

現れたのは爆豪勝己。彼も敵掃討作戦に参加した一員であった。


「爆豪、君……どうして……?」

「大きい爆発があったのが見えたからな、逃がした1匹を追って来たんだが……もう終わったみてぇだな」

近くで気を失い捕縛されている敵を一瞥してそう言うと、爆豪は木を背にして寄り掛かる。彼も戦いで疲労しているようだった。

「捕縛までは、したんだけどね……ちょっと……血を流し過ぎたみたい」

息も絶え絶えにそう返すが、爆豪からの返事はない。名前は静かに目を閉じ話を続ける。

「ねぇ、爆豪君……私、結構やばい……かも。もしさ、私が死んだらーー

「くだらねぇこと言ってねぇでーー」

少し怒りを含んだ語気にハッとして目を開けると、いつのまにか名前の側まで来ていた爆豪が鋭い目付きでこちらを見下ろしている。

「さっさと立てや。こんなとこでくたばる奴なんか、お前は」

眉間に皺を寄せて睨みつける爆豪に、相変わらずだな、と苦笑しつつ溜息を溢す。

「ーーはぁ……少し横になって休憩してただけだよ。爆豪君、ほんとキツイよね」

強がりで言った筈の言葉だったが、不思議なことに身体の痛みは先程より幾分か和らいでいた。身体に鞭を打ち上半身を起こすと、名前の目の前には爆豪の手が差し伸べられている。

「捕まれや。肩ぐれぇなら貸してやる」

少し粗い動きで名前の腕を掴み肩に回すと、爆豪は前を向いて歩き始める。
名前は、爆豪の不器用な優しさに心が温かくなっていくのを感じた。



あぁ、あなたは私を助けただけじゃないーー







あなたの言葉で、また立てる
あなたの言葉が私を生かす


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