ヘタリア短編 展示水槽
□悪友座談会
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夜のベルリン市内某所。昼間よりも人通りの少なくなった街を歩く者が一人。
フードを目深にかぶり、顔を隠して歩く彼は人の目を気にしながらある一軒の家の前で立ち止まる。
「………ここか…。」
おそるおそるドアの前に立つ。そのドアは厳重で、外界との接触を拒んでいるかのようだった。
ドアが数センチ開く。中には背の高い男が立っている。薄暗く顔はよく見えないが、男の赤い眼が夜闇にギラリと輝いていた。
背の高い男が問う。
「暗号は…?」
フードの男はフッと笑い、こう続ける。
「"イタリアちゃん、マジ天使………"」
「よし、通れ「いや、何やっとんのお前ら」
ドアの奥からさらに男が出てきたかと思えば電気をつけ、ドアをバッとあけ放つ。
よって3人の男の顔が露になる。
「おいスペイン!今いいところだっただろうがよ!」
背の高い男こと、プロイセンは邪魔されたことを咎めた。
「そうよ!せっかくお兄さん我慢してこんなダッサイ黒い服着てきたのに…」
フードの男はフランスだ。我慢ならないといった様子で着ている服を見せつける。
黒地のパーカーになんだかよくわからない模様の刺繍が入り、謎のポエムがプリントされている。厨二くさいパーカーだった。
「うわほんまやなんやそれダサッ」
「だろ?こんなんプレゼントしてきたやつのセンスを疑っちゃうわあ!」
「いやそれ俺がプレゼントしたやつだろうが!」
「ま、ええから上がってや!」
「Merci!おじゃましま〜す!」
「お前ら…」
相変わらずのひどい扱いにプロイセンは涙目だ。しかしそんなプロイセンにも慣れた二人は無視して中に入る。
「おお〜すごいじゃん!豪華!美味しそう!」
中でまっていたのは美味しそうな料理の数々。スペインとプロイセンがこしらえたものだった。
「さすが俺様だろ?」「ぷーちゃんパンケーキしか作ってないやん!」
「まあお兄さんの家の料理にはかなわないけどね」「やかましいわ!」
こんなふうに悪友の夜は更けてゆく。
今日はドイツの家で座談会という名のどんちゃん騒ぎをするのだ。参加者はフランス、スペイン、プロイセン。いつの間にか一緒にいることが多いこの三人は集まれば大体いつもひどいことになる。
果たして今回はどうなるのか。追ってみたいと思う。