If stories
□If 暗躍編 1
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「まぁヴェストはやめておいたほうがいいかもな。お前は気づいてるだろうが、もうじき寿命だ。このまま一緒にいれば、確実にあいつを傷つけるぜ?
…ヴェストのことが大事なら、もう関わるな。悲しませたくないだろ?苦しませたくないだろ?大丈夫だ、幸いにも俺様は椿と同じ亡国、最終的に辿る道も同じだ。
俺様と一緒になれば、同じ境遇同士うまくやれるさ。わかりあえることも多いんじゃねぇか?不安も軽くなるんじゃねぇか? ………ん?これは…」
プロイセンはベッドの隣のミニテーブルに目をやった。そこに乗っていたのは、ヴェネツィアでドイツに買ってもらった花飾り。
「…これ、昨日付けてたよなぁ?………あー、ヴェストにもらったのか。ったく、あいつもなかなかやるな。」
プロイセンは花飾りを手に取って、椿の目の前にぶら下げた。
「これ、大事か?」
『…あ、当たり前でしょう。それの何がいけないのですか。』
「はは、動揺してら。まぁ、見てな。」
そう言ってプロイセンは、花飾りを高く持ち上げた。
『!? ま、待って。やめて、何を…!?』
「待たねぇ。」
そう言ってプロイセンは、花飾りにグッと力を込め、
バラバラに 壊してしまった。
『………………!!!!!』
ぱらぱらと散る破片はきらきら光りを反射して、夢が散ってしまったかのような光景だ。
「…あー、良いなその顔」
ショックが強すぎて、涙が溢れてきた。もう、嫌だ。限界だ。抵抗する気力も湧かないほどに、心を折られてしまった。
「何だ、もう何も言わないのか。…抵抗しないってことだな。」
『…………………』
「安心しろよ、俺様が代わりに可愛がってやるからよ…」
そう言ってプロイセンは、椿に唇を落とす。抵抗する気も失せた椿はされるがままだ。
「…素直になったなぁ?まぁ俺様からしたらイイもんだがよ…」
人形のように、ドイツと同じ目に見つめられながら、椿は考えることを放棄した。目からは涙がとめどなく溢れ、光がない。
プロイセンに唇を奪われ、口内を犯され、服にまで手を伸ばされつつあるが、もうどうでもよい気がしていた。何も考えたくない。彼の言う通り、このまま一緒になってしまったほうが楽なのではとさえ思っていた。
「椿………」
プロイセンはもう何も言わない椿を愛おしそうに扱う。どん底まで落ち込んでいる椿の精神には甘く響き、このまま流されてしまえば楽になるかという考えがちらついて離れない。
「…大丈夫だ、今日の出来事は全部俺様のせい、お前は何にも悪くないんだ…辛いだろ、苦しいだろ、楽になっちまえよ…!」
悪魔のささやきの如きその言葉は椿を陥落させるのには十分すぎた。涙が一筋零れ、椿は目の前の男に従うことを決めた。
『…………』
「よし、決まりだな」
…………………抗いがたかった。