If stories
□If 可憐少女編 1
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「………………」
ここはイタリアのおしゃれなカフェ。とりあえず場所を移したが明らかにドイツの様子がおかしかった。
「ねえ、日本…。」
「ええ、イタリア君…。」
「ここのドルチェすっごくおいしいね…!」
「えっそこですか?」
「ん?日本はドルチェ嫌い?」
「い、いえそんなことはありませんが…」
「だよねー俺ここの初めて食べたけど感動しちゃったよ!毎日通ってもいいくらいだよ!」
…まさかの。イタリア君はこの異様な空気に全く気付いていなかったようです。
ドイツはドイツでこの衝撃的な出会いへの対処法を考えるのに必死で、自分が今ものすごく険しい顔をしているのに気づいていない。
そして椿はドイツの威圧感を真っ向から受けながらドルチェを食べていた。
(私、何かしてしまったのでしょうか…)
自分の行動を振り返ってみても、失礼になりそうなものは見当たらない。
(これが国際交流の難しさなのですね…。)
心が折れかけながらも椿は威圧感に耐えるしかできなかった。
…こんなにも異様な空気の流れる中でイタリア君は歌を歌ってドルチェを楽しんでいます!ああイタリア君…あなたはいつも通り過ぎますよ!
「ねえねえ椿ー、そっちのドルチェどう?一口もらうねー!」
そしてイタリアは椿の注文したベリードルチェを一口ぱくりと食べた。
「ん〜おいしい! …あれ?ドイツどーしたのさそんな怖い顔してさ!こんなベッラ目の前にしてそんな顔してたら椿逃げちゃうよ!」
ああああああ。イタリア君それは禁句というものです…!日本は一人おろおろしていた。
イタリアはこんな調子、ドイツは目の前のイタリアに対するいら立ちを隠す気もなく、椿はというとこの異様な空気に挟まれ、息苦しそうにしている。
「あ、あ、あの、そうだ、この後イタリアを観光でもしませんか!?いろいろ見て回りたいですよねえ椿さん!?」
椿はこの状況はよくわからないが日本に賛成しないといけないということは理解した。
『ええ、そ、そうですね。せっかくなのでいろいろ見て回りたいですね…あはは…。』
「あっほんと!?いいよいいよ案内するよ!俺椿みたいなベッラとデートしてみたかったんだよねー!」
「イ…イタリアアアアア!!!!!!」
「えっ何ごめんなさい!!おこらないでえええ!」
ああ…。終わった…。ドイツさんはイタリア君を怒鳴りイタリア君は泣き椿さんは険悪すぎる雰囲気に怯え…。カオスすぎます…。
日本は一人頭を抱えるしかできなかった。
もしもイタリアがいつも通りのKYぶりを発揮していたら。日本の気苦労が増えるのだった。