ヘタリア長編 その目で見つめて

□3 ローマの休日
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こんにちは、椿です。私は今、日本さんに連れられてヨーロッパに来ています。
昨日は日本さんのご友人であるイタリア君とドイツさんと一緒にヴェネツィア観光をしたのです。
ヴェネツィアの街は本当に美しかったですね。ドイツさんがよく訪れるのも納得です。
そして今日はヨーロッパ2日目。ホテルの朝食会場で日本さんと落ち合い、今後のスケジュールについて話し合います。

『えっ、明日ヨーロッパ旅行に連れて行ってくださるんですか!?』

「はい。ドイツさんの提案で、たくさんいろんなものを見てほしい、とのことです。あまり遠くには行けませんが、大丈夫でしょうか?」

『も、勿論です!うわあ、ヨーロッパに来てよかったです…!!本当にありがとうございます!お二人にも是非そう伝えてください!』

「ただ、本日はみんな予定が埋まっていまして…。やはり今日は誰も一緒にいれそうにないのです。面目ない。」

『そんなの気にしないでください!私にとっては外国に来れただけでも本当に嬉しくて…。』

「ローマに行くんでしたよね。気を付けてください、スリなどが多いらしいので。」

『わ…分かりました。全力で気を付けます。』



そして、私は1人旅へと出かけました!
行先はローマ、イタリアの首都で歴史深い都市です。
ホテルから電車を乗り継ぎ数時間、見事ローマ・テルミニ駅に到着したのでした!

『おおおおお…。ここが永遠の都・ローマ…!すごいです、感動モノです…!』

駅からでると、そこは別世界のようでした。イタリアはどこを切り取っても絵になりますが、ローマは別格のように感じられる。
持っていたカメラでパシャパシャと写真を撮り、その辺を散策することにした。

『あ…あのティラミス、すごくおいしそう…。』

通りに面した店の中に、なんとも美味しそうなティラミスを見つけた。
一瞬、食べずにその場を去ろうかとも思ったが、やはり食欲には抗えない。ティラミスを一つオーダーし、テラス席に座った。
やがて運ばれてきたティラミスを頬張り、荘厳なローマの景色を見やる。この年でこんな体験ができるとは思っていなかったのだが、なんだかんだ言って長生きはするものだと思った。

そして、あることに気付いた。先ほどからある青年が通りの向こうからジッとこちらを見ているのだ。
えっ何々、私なにかおかしいのかな!?と思って確認したが、特に変なものは見当たらない。
そうこうしている間に、青年はこちらへ向かってくる。
ま、まさか…、スリ!?そう思ってカバンを手に取った時…

「あ…、お前も国なのか?」

『ふぇ?』

目の前の栗毛の青年は、突然問いかけてきた。しかも、国か、と。
なぜわかったのか、そもそも、目の前の青年は一体何者なのか、正直に国だと答えてもいいものなのかわからず、椿は固まる。
その様子を見て、あわてて青年は付け加えた。

「お、俺は国だ。名前はロマーノ、南イタリアの化身だ。…お前も国なんだろ?違うのか?」

なんと、この青年は自分と同じ国だったのだ。
それも、南イタリアの化身で…   ここで、椿はあることに気付く。

『み、南イタリア…ということは、あなたがイタリア君のお兄様ですか!?』

「な、あのヘタレ弟を知ってんのか!?」

衝撃的で奇跡的な出会いだった。
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