ヘタリア長編 その目で見つめて

□1 可憐少女
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世界会議の日からちょうど一週間、今日が日本の妹・椿と会う約束の日だ。
待ち合わせ場所はイタリアになった。なんでも、一度は行ってみたかった国だという椿の強い希望があったらしい。

日本と椿が来るまでの間、イタリアとドイツは椿について話し合っていた。

「ヴェ〜…なんか緊張してきたよ!ドキドキするなあ…。」

「ああ、そうだな…。一体何から話せばいいのか全く分からん。」

「え?どんなこと話すつもりなの?」

「例えば、現役時代の文化・風習・生活の様子について、亡国となるに至った理由について、今の国際社会をどう思うかについて…。」

「堅いよ!そうじゃなくて、好きな食べ物とか、趣味とか、タイプとか、そういうのを聞かなきゃ!」

「なるほど、タイプか… って俺はナンパをしに来たのではないぞ!」

そんなやり取りを数分続けたころ、向こうから日本と椿らしき人影が見えた。

「あ!ほらドイツ、来たよ!」

「すいません、お待たせしましたー!」

日本の声が聞こえ、ドイツはそちらを向いた。
そして目に飛び込んできたのは、中くらいのトランクを引いて走る、椿の姿だった。



「すいませんお待たせしてしまって…。こちらが、私の妹の椿です。」


『はじめまして、椿です。本日は皆様にお会いでき、誠に嬉しく思っております…。』



椿は、恭しく挨拶をした。
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