ヘタリア長編 その目で見つめて
□0 プロローグ
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ここは会議場。先ほど世界会議が終了し、ぞろぞろと国たちが場を後にしている。
「イギリス―!お腹が減ったんだぞ…」
「ったく、しょうがないな… ほら!俺特製のスコーンだ「ノーサンキューなんだぞ!」
国たちはいつも通りにケンカし、おしゃべりし、シエスタし、結局何もまとまらないまま会議を終了させた。
「全くあいつらは…何のためにこの場を設けているのかわかっているのか?」
「ドイツ会議中に怒鳴り散らすのやめてよ〜 俺せっかくシエスタしてたのに…」
「だからするなと何度言ったらわかるんだ!」
そういって出てきたのは若干機嫌の悪いドイツと、ちょっかいをかけ続けるイタリアだった。
「お前怖いんだよ〜もっとにこやかにしようよ!そんなんじゃベッラが逃げちゃうよ!」
「む……」
イタリアの言葉に若干ショックを受けたが、このふらふらした男になるよりはマシだと持ち直す。
外は暖かかった。春らしい気温である。…もっとも、暑い気候のイタリアやスペインはまだまだ肌寒そうにしていたが。
「あー、あそこに日本がいるよー!にほーん!!!」
「あっこら急に走るな!」
物陰に日本の姿をみつけ、手を振り走り出したイタリアをドイツが追いかける。これも少し騒がしい国たちの日常風景である。
「…はい、今終わって…ええ、はい…」
しかし近づいてみると日本は誰かと電話中のようだった。
「ヴェ〜…日本電話中だったよ…誰とだろう?」
「上司などではないのか?」
「う〜ん、上司にしては雰囲気がやわらかいよ〜。こう、ふわってかんじ。」
「…確かにそうだが。」
日本の電話は続く。2人は電話が終わったら日本と一緒に帰るために近くで待つことにした。
「ふふ…、そうなんですか。ぽちくんが…」
「「………」」
「そうですねえ。楽しみにして待っております…。」
「な、なんか良い雰囲気だよ!?これは上司ではないよ…」
明らかに上司ではないと確信したイタリアはなぜか慌てている。内心、それはドイツも同じだった。
二人とも、日本に恋人ができたのではないかと思っていたのだった。
「ええ〜、まさか…。まさかね、ドイツ…。」
「な、何を言っているんだ…。そんなことはないだろう。」
そこで、日本の電話は終わった。間もなく、日本が2人に気付き、声を掛けた。
「おや、ドイツさんにイタリア君ではありませんか…どうかしましたか?」
なにかただならぬ空気を感じ取った日本がちょっと身構えた。
当のイタリアとドイツは聞くか聞くまいか悩んでいたが、結局イタリアが口を開いた。