魔法使いの誕生
□2 賢者の魔法使い
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ちゅんちゅん。小鳥のさえずりで目を覚ます。…学校、行かなきゃ……。行きたくないけど、単位のため………なんか、いつも以上にふかふかする。
ガバッと身を起こす。見知らぬ部屋。ベッドも知らないもの。…どこだここ!?
一瞬混乱したが、すぐに昨日の出来事を思い出した。
「そうだ……異世界召喚、されたんだった……。」
昨日、自身が魔法使いだと知らされた後、少し休むように言われた。この部屋を与えられ、好きに使っていいからとのことだったが、急に疲れが襲ってきてそのまま眠ってしまったのだ。
朝だ。部屋の窓から外の様子を見る。外は晴れていて、あたたかそうだ。この魔法舎と呼ばれる建物は結構広いのかもしれない。緑に囲まれていて、素敵だった。
「ゆりちゃーん、起きとるかー?」
「スノウちゃんとホワイトちゃんのモーニングコールじゃよー!」
コンコンと部屋のドアをノックする音とともに、スノウとホワイトの声が聞こえた。モーニングコールなんて、ちょっとかわいい。ガチャリと扉を開けた。
『おはようございます。スノウさん、ホワイトさん。わざわざすみません…。』
「我らに敬称は不要じゃ。スノウ、ホワイトでよいぞ。」
『で、ではスノウ、ホワイト。…私はこれからどうすれば…?』
いつもなら学校に行くものの、ここは異世界で勝手がわからない。何か、することとか行くところとかがあるのではないか。
「うむ。朝食ができておるぞ。昨日の食堂で、賢者の魔法使いみんなが集まっておる。自己紹介も兼ねて、一緒に行くのじゃ。」
『みんなって…21人がですか?…緊張してしまうな…。』
「大丈夫じゃ。多分。優しいやつもおる。」
『…多分?』
「気にしなくてよいぞ。何かあったら我らが守ってやるからのう!」
『………………?』
何だか物騒な予感がする。多分大丈夫?大丈夫じゃないかもしれないということ?優しいやつもおる?優しくないやつもいるということ?…何かあったら?何かあるの?
怖すぎる…歓迎されなかったらどうしよう…?私はよそ者だし、魔法使いの存在も昨日まで知らなかったけども…とにかく不安だ。
そんな私の不安を察知したかのように、スノウとホワイトがぎゅっと手を握ってくれた。
「大丈夫じゃ!我らもついておる!」
「賢者もみんなとなじめたのじゃ。そなたなら大丈夫。不安なら、我らが手をつないでやろう。」
『あ……ありがとう、ございます……』
「「礼には及ばん。」」
2人はにっこりと笑って息ぴったりに返事をした。この年になって、子供に手をつながれて安心するとは…子供はこっちのようだ。でも、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
重たい足を、スノウとホワイトに導かれながら食堂へ運ばせる。私ならきっとうまくやれる。大丈夫。転校生みたいなものだ。大丈夫…。
「「到着じゃ。」」
スノウとホワイトが、食堂の扉を開いた。