配線

□距離を縮める
1ページ/2ページ

「抱いて、おくれよ…」
珍しく二人で居酒屋で飲んでいた金曜日の夜。
僕はコーラで、与謝野さんは日本酒。隣り合わせのカウンター席でちょうど酔いが回り始めた頃に与謝野さんがそういった。
一瞬何を言ったのか理解できなかった、自分の頭が思考を止める時がくるなんて思ってもみなかった。片思い相手から、こんなことを頼まれるなんて。
「乱歩さん…」
こちらに擦り寄るように体を寄せられる。
「これっきりにするから」
お酒のせいか、はたまた別の何かか、潤んだ瞳と上気した頬が無意識に自分の中の本能を煽る。
「一回だけ、我儘を聞いて…」
カウンターにお金を適当に置いて、店員にお釣りはいらないと声をかけつつ彼女の細い腕を引いて立ち上がらせた。
そのままに店を出て近場の安ホテルへと飛び込む。
部屋の中に入ってすぐ、ベッドの上に彼女を乱暴に放り出した。
与謝野さんは抵抗も何もせず、只なされるがままに、自分の我儘が受け入れられたのだと思っているらしい。それが少し嫌だった。
外套をその辺りに脱ぎ捨ててネクタイをほどきながら覆いかぶさった。
「酷くして…」
その言葉には答えないままに、ゆっくりとした手つきで彼女の衣服を一枚ずつ取り払っていく。額や瞼に小さな接吻を落とす。
「らんぽs、んっ…ふぁ……ぅ/////」
とびっきり長くて甘い接吻を唇に。彼女から漏れ出る吐息さえも肺いっぱいに飲み込んだ。はじめての接吻はお酒の味が混じった甘い味で、少ししょっぱく感じる。
絹のような白い肌を丁寧に撫でれば、彼女は大粒の涙をこぼした。
「ちがぅ、らん、さ、ぁ//」
手は休めないままに僕も服を脱いでいく。二人とも生まれたままの姿になって、僕はまた距離を縮めて口付けた。
逃げる舌を捕まえて吸い上げれば、苦しそうな声が聞こえてくるが気にしない。それでもあくまで優しく、壊れ物を扱うかのように。
口を離して見た与謝野さんは、はっきり言って目の毒だった。白い肌は赤く染まり、至極色の瞳は止まらない涙を流す続け潤んでいる。
「与謝野さん、好きだよ」
「やっ…」
「大好き」
「やめてっ……!」
「愛してる」
「やだ、ぁ…」
「なんで?」
秘部に指を入れれば、そこはすでに程よく濡れていた。押し進めるように指を動かせば、奥へ奥へ誘うように中が畝る。
「勝手に終わらせようとしないでよ」
指を抜いて、何も言わせないために、違う方の手の指を彼女の口の中に入れた。
ゆっくりゆっくりと意識をしながら、肉棒をその体へと突き立てる。慣らすように軽く前後させるだけで、彼女は体を弓なりに反らせた。
「やらっ、な、んかきちゃ、///」
「与謝野さん可愛いよ」
ギリギリまで引き抜いて、奥に叩きつけるように戻せば、もう止まらなかった。
「よさっ、のさっ」
「あっ!//おくっ///あたっひぇ///」
「当てててるにっ決まってるで、しょっ!」
「ちが、こんなっ!しら、ア“ッ!//」
「気持ち、よさそう…!!!」
「なン、でェ…!////しょこ、ばっかァ♡♡♡」
「ハハッ」
あまりの情報量の多さと快感にいつも冷静な彼女が壊れ始める。この姿を観れるのは自分だけかと思うだけで背徳感がさらに自分を煽り立て、彼女を強く責め立てる事しか考えられなくなる。
壊れ物を壊すときの、なんとも言えない高揚感と同じようで少し違うこの感情。
「そろそろ、出すよッ!」
「らんぽひゃ、なか、がイッ♡♡アッ♡♡♡」
「勿論」
今日一番深いキスを送る。離れられないくらいに繋がって溶け合って。
与謝野さんの中で果ながら、数時間前のことを思い出す。

「抱いて、おくれよ…」

不安そうな顔だった。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ