導体

□女医に送る接吻
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社員の誰にも見せられないようなこの状況はいったいどう説明したものか。
社員である与謝野の膝の上に頭を乗せ、微睡みを誘うこの状況は案外心地の良いものだ。
親娘ほど年の離れた娘に髪をゆっくりと撫でられる。それは遠い昔に置き去りにした母親の手と重なった。自分も人の子だったかと、改めて感じた。
少しだけ体勢を変え、彼女の腹に口付ける。
人の子であるなら私もここを懐かしんでいいはずだ。回帰、ただそれだけが頭の中を占めていく。
「くすぐったィよ、社長」
暖かい春の日和が心を溶かしていくようだった。
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