コイル

□待ち合わせ
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今日は芥川と久しぶりのデェトだ。何故太宰さんにバレているのかは分からないけどあの人ならなんでもありかと忘れることにした。
昼から有給をとっていたのだが今日も忙しくてなかなか上がれていなかったので正直助かったというのが本音だ。
待ち合わせ場所に到着し、黒ずくめのあいつに姿を探す。目立つ格好の芥川はすぐに見つかった。
「あ、あの私たちとお茶しませんか…?」
「待ち人がいる故、丁重に断らせていただく」
但し、女性に話しかけているところだったが。
俗に言うナンパというやつか、と物陰に隠れて見ていれば女性は渋々と言った風に去っていく。その背中を見送るあいつにやっぱり僕みたいな奴ではなくて、綺麗な女性の方がいいんじゃないか、なんて考えてしまった。
そもそもあいつの周りに綺麗な女性って多い気がする、樋口さんとか妹さんとかあとは「人虎」
「ぎゃああああ?!?!?!」
「そんなところでなにをしている。待ち合わせは十分前だが」
「わ、悪い」
「…まぁいい。….……僕が早く来すぎたのもあるからな」
その科白に、探偵社を出る前に聞いた話を思い出した。

「相手が一番他の異性にそういう気持ちを持って話しかけられやすいのは、デートの待ち合わせ中ならしい。」
「どうやらね、相手の事を想っているからなるべくかっこよく可愛くなろうとするんだってさ」

つまり今、僕を想っているから芥川はかっこよく見えるのか、と勝手に導き出した答えにカッと身体中が熱くなった。
「行くぞ、人虎。…貴様、何をそんなに顔を赤くしている…??」
「ちょっと待ってくれ…///」
今日はまともにこいつの顔が見れる気がしない。
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