配線

□壊れた十字架 2
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「で、探しに行くんだね」
「そうなんだよ〜。どうせなら文句を言いたいしね」
「まぁ妾も一発殴っておかなきゃ気が済まない」
「わぁ怖い」
「思ってもないくせに」
あれから数日。
眷属として復活した与謝野は、乱歩の予想に反して、感謝の言葉を口にした。
「死んだら、捨てられると思った」
彼女が目覚めた直後に口にした言葉である。
彼女はもう人間ではない。
銀の鉈は振り回せないからと、新調した鋼鉄の鉈も中々に殺傷能力の高そうな代物だ。
同時に、銀狼の姿が消えたと、近場の人間の街で騒ぎが起きていた。
2人はその銀狼を探すべく、旅に出ようと言う話をしているのだ。
「ま、僕が与謝野さんのことをずっと守ってあげるよ!」
「じゃあ妾が乱歩さんのことを守ってあげよう」
「そうこなくっちゃ!」

壊れた十字架は確かに戻らない。
けれど、神を捨て死にながらに生きる人間と人間を大切に囲い込むと言う吸血鬼の関係は壊れる時が来るのだろうか。

神が初めて微笑んだ。
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