dream


□紡がれた始めた糸
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それからというもの私は2日間…
ぶっ通しでこの森の中を歩き続けたが、一向に出口らしき所にはたどり着けず、人にも遭遇することはなかった。

遭遇した物といえば、ヘビとリスと鹿くらいだった。


さすがに疲れた私は、少し焦りすぎたかな…と再び痛み出した身体を休ませることにした。


杖を一振りして私は小さなテントを組み立てる。

ちなみにこのテント、残念ながら拡張魔法が掛かっていない為
中のスペースはごく普通の小さいテントである。


まだ熊には遭遇していないが
万が一に備え知っている限りの役に立ちそうな魔法を使った

《カーベ イニミカム 》

《サルビオ ヘクシア 》

《プロテゴ・トタラム 》

《プロテゴ・ホリビリス 》



そしてマグル除けの魔法、
レペロ マグルタム 、そう唱えようとした瞬間、
私はリュックに隠し持っていたイタズラグッズの落とし穴堀りモグラがあることを思い出した…


そうだそうだ、一応これもテントの前に
仕掛けておこうっと…


ネジをギギギ…と、回してモグラのオモチャを
テントの前に置くと、
ソレは鋭い爪でどんどん土を掘り進み、一分もしないうちにあっという間に大きな穴を作り上げた。

中には敵を感知すると知らせてくれる
鈴虫のおもちゃも一緒に入れておく。


よし。イタズラグッズも持ち歩くもんだね
意外と役に立つな。


そして仕上げに私は母に

「クレハにぴったりな可愛いのを見つけたわよ!」

と持たされていたレジャーシートを広げる。


そこには黄色いわがままボディーに茶色いベレー帽をかぶった
可愛らしいポムポムプ●リンがシート一面にプリントされていた。


私は幼稚園児かよ!!!!



いや…かわいいんだけど…さ…


母親のセンスに呆れながら落とし穴の上に被せ
周りの落ち葉などをかき集め
ポムポムさんを隠していく。すまんポムポムと愉快な仲間たち。


よし、これで準備万端!


ふぅ〜と息を吐いて汗を拭っていたその時、
私のお腹は盛大に空腹をアピールする音を奏で始めた。

母に貰ったポムポムさんのシート見て
少し心がリラックスして落ち着いたのか
私はあの時から食欲も眠気も全くなかったのに
急に食欲と眠気が同時に襲来してきた。


ん…なにか手軽に食べれるもの…

もうなんでもいい、一番最初に掴んだものをとっとと口に入れて寝てしまおう…
そうクレハがゴソゴソとリュックを漁っていると
手に何か分厚く柔らかい感触があったので取り出してみた。

その正体は、真空パックの厚焼き玉子だった。


またお前か!!


でもこの際いい、今の究極ハラペコマンな私には金色に光るこの延棒も救いの神である。

私はフィルムを乱暴にはがして
カニカマ感覚で厚焼き卵を素早く口に押し込み
むちゃむちゃ食べる。

うんまい。

厚焼き卵をこんなに美味しいと思ったのかなり久しぶりだと思う。

あ〜…

鮭の塩焼きと炊立てごはんと味噌汁食べたいなぁ…

それらすべてが揃っていれば完璧なのに…


そういえばリュックにキャンプ用の飯盒と
少しのお米とインスタントの味噌汁もあった気がしたが
眠気に勝てず、そのまま厚焼き卵を完食したクレハは
寝袋も入らずリュックを枕にして眠りに落ちるのであった…



その後、巨大な厚焼き玉子に魔法界が制圧させる夢を見てうなされていたのは内緒の話。





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