dream


□終わりとはじまり
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それから家に到着した私は
ルシールを失った喪失感により動く気力がなくなり
リビングのソファーにボスンッとダイブした。



「はぁ〜…また暇な日々が続くのか…」



ポッター家と行くプールは8月になってからだし

マルフォイ家のパーチーはもっと先の話だし…



つまんな〜いと右に左にゴロンゴロンする私を見て両親は呆れてため息を吐いた。



「もう、何言ってるのクレハ

また来週からは忙しくなるんだから準備しなさいよ」


夏休暇の課題は今のうちに片付けておきなさいね、

なんて訳のわからない話をする母に???と頭が疑問でいっぱいになる




「いや、意味わからないのですが?

どこか旅行にでも行くの?」



「やあね、とぼけちゃって」



来週から海外にボランティアに行くって言ったでしょ?
今年は社会勉強の為にあなたも参加しなさい


と、手紙にちゃんと書いたはずよ?



と言われ、急いで鞄にある両親からの手紙を取り出して確認する

よく見ると母からの長いどうでもいいご近所との世間話の内容の間に



【あ、そういえば今年の夏のボランティアは
あなたも社会勉強として参加させることにしたわ】


とおまけ程度に書いてあった。
いつものことで、どうせどうでもいいことしか書いてないであろうと思い完全にスルーしてしまっていた。




「こんなんわかるかアァァァァァ!!!!」




とソファーでバタバタあばれていると

お嬢ちゃまはしたないですよ、と屋敷しもべのツバキがメッ!と母のように扇子で足をペチペチしてきた。



「ボランティアなんかいきたくないよ〜」


超イヤすぎる〜…



そんな私の言葉を聞いて
まぁ!とズカズカ音を立てながら
こっちに母が近づいてきた。おぉ、コワ。



「なんてこと言うのよ、とても素晴らしいことなのよ?」



「そうだぞ、
人は皆助け合ってこそ生きられるんだ!

それに…
母さんと父さんもボランティアで出会って結婚したんだ」



運命的な出会いもあるかもしれないぞ?



「「ね〜??」」



なんてアホみたいに目の前でイチャイチャし始める両親に呆れて欠伸がでる



ボランティア

両親達が言うそのボランティアは遠い遠い
先住民族のいる地にまで行く


そこら辺で募金活動やらなにやらするのとはわけが違う。



私は人助けをすることが嫌なんじゃない。


寝る場所もまともになかったり
トイレは草むら
食べ物も昆虫やらその辺の生き物やらと
話を聞いただけでオエーとなりそうなもんだ。

蚊にも刺されまくりだし、下手したら少し前に流行った病気にかかるかもしれない。


そんな所に進んで行きたいとは思えない…




しかも両親ですら彼らの前では絶対に魔法を使ってはいけないのだ。



先住民族には各々その土地には神様がいると信じられていて信仰深い。

見た目に少しでも異変がある子供が生まれただけでも悪魔と呼び、恐ろしいことになる。

昔この地を開拓しようとした魔法使いが次々と消えて帰らなくなった話も聞いたことがある。


考えただけでガクブルだ。




しかしそこは何度も両親が訪れた場所。


魔法を一切使わず、己の手で井戸を1から作り上げた
二人は彼らからすっかり信用されているようだった。



だったら大丈夫だろうか・・・・


私は不安になり
リビングに飾ってあった両親がボランティアに行った時の写真を見つめる。

そこには子供たちに囲まれながら笑う二人がいた。



「安心なさい、クレハは私達がちゃんと守るわ」


「そうだよ。一度だけでいい、自分の目で見てみなさい」


知らない世界を知らないままで終わらせず
見てから決めなさい

それで嫌だったらもう無理強いはしないさ。


と父がクレハの頭を優しく撫でる



確かに、父の言うことも一理あるかもしれない

不安ながらもこれも経験のうち、と腹をくくり



「…今回だけだよ」




と、答えれば

両親は優しく微笑み抱きしめてくれた。





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