dream


□終わりとはじまり
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花火大会が終わった後

あれからルシールのご両親が早く帰国できそうだと連絡があり
予定より早くルシールは帰ることになった。


最後の2日間はそんなルシールの為に
父がはりきって

「思い出づくりにキャンプに行こう!」


と、キャンプに連れて行ってくれた。


ルシールが屋台の焼きトウモロコシにハマッたという話をしたら


「じゃあバーベキューで焼きトウモロコシもしよう!」


とやる気満々で材料を揃えた父だったが
当日バーベキューのメインである肝心の肉を家に忘れて

態々山に行って焼きトウモロコシを食べるという謎なイベントになった。


そんなどこか抜けている父が面白くて
皆で大笑いした。

ルシールもいつものお上品な笑い方ではなく
アハハッと腹の底から大笑いしてくれたもんだから
父の失態もナイスなもんだ、…グッジョブ!



その後は

もしも山で遭難したら…

というへんな教室を開きだした父。

蛇の捕まえ方から捌き方、調理の仕方などいらん知恵を伝授しようとした

私たちはそのレクチャーが終わる頃には
ゲッソリしていた。


スリザリンの私からしたらまじてやめてほしい。

紋章を見るたびにグロテスクな映像を思い出しそうだ…


しかし、意外と塩コショウ、ハーブソルトをかけたり
醤油で焼いたヘビが美味しくて吃驚した。


「チキンと変らないね!」

なんて言いながらルシールと丸太に座りながらモグモグと食べ続けた。

今度山に来るときは調味料だけでもいっぱい持って来ようっと。



父のグロテスクな教室が終わったその後は水着に着替えて
飛び込みスポットや川でみんなで遊び

楽しかった最後の2日間もあっという間に終わってしまった…



そんなルシールが来てからの5日間の思い出を振り返りながら私は空港の最後の見送りゲートでルシールに荷物を渡す。


「ルシール、
いきなりだったのに来てくれてありがとう
すごく楽しかったよ!」


最後の荷物を「重いから気を付けて」と彼女に言いながら渡すと
ありがとうと彼女は受け取る。


「そんな、こちらこそ!
寂しく過ごすはずだったのに私も楽しかったわ…」


私の肩に手を置き、ありがとう…とささやいた後、彼女は両親の方に向き直った。


「クレハのお父様、お母様

5日間もいさせていただいた上に、沢山のお土産までいただいて
本当にありがとうございました…」

とても素敵な思い出ができました



と二人に深くお辞儀する。



そんなルシールを見て両親も


「いいえ、こちらこそクレハといつも仲良くしてくれてありがとうね。

まるでもう一人娘ができたみたいで私もすごく楽しかったわ!」



最後にハグさせて!と母が強く抱きしめる



それを見ていた父が

俺も〜!!!と抱き着こうとしたので私が全力で阻止した。

なんでだよ〜!と嘆く父のそんな姿をみて


「お父様、楽しいキャンプと講習ありがとうございました」


と、ルシールが握手を求めてきたので
父の機嫌はコロッとよくなった。




〜ポロロロンッ♪





その時ルシールが乗る飛行機のアナウンスが流れだした。


「じゃあ、そろそろ行くね…」


「うん、気を付けてね」



また休暇があけたらキングスクロス駅で!
と手を振り最後の別れをした。

彼女とお揃いのブレスレットが
手を振るたびにキラキラ光る。




あんなに楽しかった日もこれでお終いか…



と私は少し落ち込みながら

両親と空港をあとにするのだった…










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