dream


□晴れ、時々、糞
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バチンッ!!



何かが破裂するような、そんな独特な音が
静かな朝の公園へと鳴り響くと、
近くでチュンチュン、と可愛らしく囀っていた小鳥たちが驚いて一斉に飛び立った。

音がする方には
いくつもの影がごっちゃになって現れる。


3つの影は地面に這いつくばり
1つの影だけはしっかりと影の中心で凛々しく佇んでいた。





「ほら、言わんこっちゃない」




彼女がそう口にするのと同時に
傍にいた3人は同時に不快なものを口から勢いよく吐き出した。




「ぅぷ…」



「うぅ…」



「うぉぇっ
おぉぉぇえぇぇぇ・・・・・」





隣で大量のゲ●を吐きつけられたクレハは
慌てて


【プロテゴ!】


と、防御の呪文を唱えて
彼の嘔吐物の跳ね返りを防いだ。






「ちょっ…!!メルル吐きすぎ!
朝食べたブリトーまんま、出てんジャン!」





もう、皆揃って…と、クレハは眉を顰めながら貰いゲ●をしないように手で口を押えて必死に堪えると
皆の口の中にヤモリの形をしたペパーミントのキャンディーを口に放り込む。


魔法界で【現し酔い】に効くと人気の商品だ。





「ダリル、大丈夫だった?
どこか身体のパーツなくなってない?」




クレハが心配しながらダリルの身体をあちこち手で弄ると
彼は恥ずかしそうに「大丈夫だから…」と彼女を遠慮気味に優しく突き放す。





「おいおい…
心配するのはダリルだけか?俺も見てくれよ」




特に俺の下半身のブツがバラけてないか見てくれ、と手を広げるメルルを見て
クレハは道端の犬のフンを見るような眼差しを彼に向ける。





「君を今すぐ女の子にしてあげることもできますが?」



一瞬燃えるけど、痛みはすぐになくなるから



彼女がどす黒いオーラを身に纏いながら杖を向けると「…ジョーダンデス」とメルルは両手を下げる。





「兄貴の女の子の姿なんか見たくない…」



「ね、きっとハゲで目がイッてるクソビッチのジャンキー女だよ。」



「ッ…プッ!」



クレハがきっとこんな感じ、と変顔をすると
想像してしまったのか、二人の言葉にジェリーが笑いを必死で堪えていると
「姿現しよりそっちのが吐きそうだね」とダリルが胸に突き刺さる一言を放つ。






「お前らなぁ…学校付き合わないぞ?」




普段人に見せない拗ねた態度を取るメルルを見て
一瞬ちょっと可愛いなんて思ったクレハだったが
彼の言葉に三人はハッとし、本来の目的を
思い出す。





「「「そういえば学校!!!」」」





急がなきゃ!!!と慌てる三人を見て
「今更かよ!」とメルルはツッコミを入れると
4人は公園から急いで抜け出して目的の場所へと駆け足で向かう。

立ち去る際にクレハは3人が吐いた物を魔法で綺麗にすることを忘れない。





「ちゃんと…うまくいくかな?」




不安な表情を浮かべながら横を駆けるジェリーに、クレハは少しの間考えると

「大丈夫、いいものあげる」

と、彼にある物を差出して渡す。



それは小さな小瓶に入った液体だった。






「これ、なに?」





不思議そうに小瓶を見つめるジェリーにクレハは満面の笑みで答える。






「これはフェリックス・フェリシスっていってね?
通称幸運の液体と呼ばれているの」





彼女が飲むと効果が切れるまで、
すべての企てが成功する魔法の液体だと説明すると
彼は嬉しそうにすべてを一気に飲み干した。





「本当だ、なんだかなんでもできそうな…
不思議な気分だよ!」





彼がガッツポーズをするとクレハは「よかったね」と
ニンマリ笑う。




がんばれ、ジェリー

その中身は粉タイプのポカリ●エットで作ったただのポカリだけどね!








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