dream


□新たな一歩
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なんだか不思議な夢を見た。



ぼんやりと映るその景色は、
今では少し懐かしさを感じてしまう大きな存在感のあるホグワーツ城だ。



マーピープルの潜む大きな湖から始まり


森番や魔法生物飼育学教授であるハグリットのユニークな小屋


それに禁じられた森


まるで自分はゴーストにでもなったような感覚で学校の周りを勢いよく駆け巡る。



そして場面は学校の内部に変わる…




あぁ、懐かしい…



図書室の少しホコリくさい匂い



廊下で悪戯をする生意気なゴースト、ピーブス。


中庭から見える、クディッチの練習に励む生徒たち。



優しく頼りがいのある先生、




そして思わずうっとりしてしまう
ホワイトローズの香りがするこの後ろ姿は…





「…ルシール?」




ここは校長室だろうか。

彼女はマクゴナガル校長に
まるで小さな子供をあやすかのように優しく背中を撫でられながら
大粒の涙を流していた。




どうしたの?また誰かに何かされたの?



クレハが彼女の肩に手を伸ばすも
その手が彼女に触れることはなかった。


ルシールに触れたくても触れられないもどかしさに苛立ちを覚えると
静かな部屋に、枯れた校長の声が響き渡る。



「気持ちはわかります、ルシール…」



そう優しく慰めるとマクゴナガル校長は強く彼女を抱きしめる。




「先生ッ…クレハは、クレハは…」




「私も、魔法省の人間も、必死で彼女を探しています。
彼女がタフで誰よりも強いのは貴女が一番よく知っているでしょう?」




だから…貴女は彼女を信じて待っていなさい。



そう校長が口に出すと、ルシールはわぁっ!とまた涙を流し泣き崩れてしまう。



「でもっでも…

彼女が消えて1年…


手がかりが…何ひとつないなんて!!!」




その言葉にクレハは驚きを隠せないでただ茫然と立ち尽くす…




1年…?


え、私がこっちの世界に飛ばされて少なくとも1〜2か月の話だよね?


1年…???




えっ…これは…




夢…だよね?夢、よね?




クレハがそんな事を考えていると
目の前の景色が突如揺らぎだし
身体が後ろに引っ張られるように吸い込まれる。




「ま、まって…待って!!


私はここにいるよ!ここに!ルシール!



ル シ ーーー ル ーーー!!!!」




彼女が大声で叫ぶと、目の前で涙を流す少女が不意にこちらへと勢いよく振り返る。


その瞳は真っ赤に腫れあがり、彼女をよく知る人物でなければルシールとわからない程になっていた。





「クレハ…?クレハなの!?」




彼女がこちらに手を伸ばすもその手は届かず…

耳を劈くような目覚ましの音でクレハはそこで目を覚ますことになる。



彼女の目の前で広がる景色は・・・・




「いつものディクソン家の屋根裏…

なんだ…やっぱり夢、だよね?」





ルシール…


アルバス…


スコーピウス…元気にやってるかな…





彼女は頬に伝う涙をゴシゴシと拭うと
はぁ〜…と深いため息を吐きながら
ダリルとメルルの居室へと繋がる階段へと重い足取りで向かった。







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