dream


□消えた記憶
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私とダリルはある日、各々事情があり
お互い山の中で彷徨っているところを偶然にも出会った。


その後二人は意気投合し、マグルである彼だったが
私はすんなりと自分の素性を明かしてしまう。

彼は今までのマグルとは違い
目の前で魔法を使う私を見ても
悪魔とも化け物とも呼ぶわけでもなく

ただ、【天使だ】と私に向かって言ってくれた。


この時からすでに…私は彼に惹かれていたのかもしれない



その後出会ってから3日間、
一緒に過ごしつつなんとか山の中から共に脱出し
9日間も彷徨っていた少年、
ダリルをやっと無事彼の家に送り届けた。
と、安心したのも束の間

ダリルの兄である暴れん坊将軍なメルルとバッタリ遭遇する…



出会ってすぐの彼の態度はひどく荒れている感じで
日本人である私に対してとても差別的で暴力的だった。


しかし、そんな彼も
青春の1ページのように拳で語り合うことで(一方的だけどネ)

彼が弟の事を大切に想う優しい一面があることに気づき

私達二人は和解した。



そして、ダリルがこぼした一言により
私が孤独で行き場を失っていることに気付いた兄、メルルは
「好きに使えよ」と友人と秘密基地として使用していた彼らの部屋の上にある
屋根裏の空き部屋を私に譲ってくれたのだ。






みんなオーケー?





えっ???



なんで私がこんな振り返って語っちゃってるかって?




そんなの現実逃避するために決まってんじゃん。





だって、見てよこれ・・・・・




クレハがもう一度目を開くとそこには
どこからか拾ってきたであろう
大量のポルノ雑誌と煙草の吸殻
酒の空き瓶、あと色々と汚いなにかがその部屋には散乱していた。


得体の知れないゴミからは悪臭が漂う…

そして壁には、
お取込み中のハレンチな男女のポスターまでご丁寧に貼られていた。


見た目のダメージ70,
悪臭によるダメージ50の120%全開で私を殺しにかかってきている。






「…ちょっとなにこれ、信じられないんですけど……」




私が不快さを前面に現しながら
横にいるメルルの方を見てやれば
彼はこんな部屋を見られても恥じることなく
ポーカーフェイスでいた。





「まぁ、少し汚ねぇけど、片付ければ割といい部屋になるぜ」





どこが少しだよ!自家発電で忙しすぎるだろ!と私がツッこめば

「男はこんなもんだろ?」と彼はケロッとしている。




…知らない、そんな男を私は見たことない。



親友である、アルバスとスコーピウスの男子の部屋に侵入したことはあったが
二人の弱みを握ろうとえっちなビデオや本はないかな〜なんて思っていたが

つまらないくらいに、これっぽっちもなかったぞ?


スコーピウスの部屋で唯一見つけたネタがローズの写真1枚くらいだった。


その話をメルルにすれば





「女が知らねぇだけで、裏では皆こんなもんだろ」




と言う彼に、私は納得がいかず横にいるダリルを見てみれば
彼は恥ずかしそうに俯いて自分の足だけを見つめていた



良かった、おかしいのはこのゴリラだけだ。



ダリルは正常で良かった、そんな事を思っていると
メルルは断りもなくその場で煙草に火をつけ始めた。

だから、アンタは未成年だろっつうの…




「ちょっと、あのねぇ…
うちのダリルちゃんに悪影響だからやめてくださらない?」




副流煙って知らないのハゲ?とダリルを後ろから抱きしめながら言えば
お前はいつ、コイツの母ちゃんになったんだ?と鼻で笑われた
ダリルがもし不良になったらアンタのせいよ!と私は肘で小突く。



「日本じゃどうだが知らねぇが
ここの州だと18からは酒もタバコもやれんだよ」



別に不良じゃねーぞ?という彼に、あら意外。と私は言葉を漏らす。

てか彼は18歳以上だったのか。


とにかく、18だろうがなかろうが
この部屋はとにかく汚く、精神的な面でも身体的な面でも
かなり体に毒だった。ダリルは踏み込んでからずっと無言だ。

私は床に散乱しているゴミがカサカサと一瞬揺れ動いたのを見逃さなかった。


とにかくこの不快な場所を早くどうにかしたい…




「ここ、全部片付けていいの?」




「あぁ、ダチも来ねぇしいいぞ」





メルルが手伝う、そう言おうとした時
クレハは杖をおもむろに取り出し、一振りであっという間に部屋を一掃させた。


壊れていた照明は再び明るく灯す事を思い出し
ポルノ雑誌の収録らしきポスターは剥がされ、床一面に散乱するゴミも勝手に自らゴミ袋へ入り、
野外の倉庫まで移動する。

長年掃除されていなかったホコリだらけの部屋も
まるで新築の時のような光を取り戻し
薄暗いその部屋はすぐに綺麗な本来の姿へと戻る。



横にいたダリルはその光景をキラキラとした瞳でみつめているが
メルルだけが驚きのあまりに口を開けたまま固まっている。



「なっ…!!い、いま…今の…!!」




メルルの反応をみて、はじめてクレハは
まだ彼に自分の正体を明かしていないことに気付く…

そういえば、考えないで魔法を使ってしまった。

どうしよう…とダリルに目で助けを訴えれば
彼はパチン、とウィンクで返してくれた。

これは正体を明かしても大丈夫ってこと…???



「お、おまえ…」



「メルル、ごめん。話してなかったけど私…」



魔女なんだ。そう言おうとした瞬間


彼の興奮した声に
私の告白は消されることになる。










「お前…忍者だったのか!!!!!!」








天使の次はそう来たか…












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