その他(BL)
□素直になれたら
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俺は瞳から大粒の涙をぽろぽろと溢しながら振り向くと、平太の肩に顔を埋めた。
「ごめんな、奏。悪気はねえんだ。これは癖みてーなもんだからな…でも、奏が寂しがるならもう学校以外では他の奴の世話焼かないようにする。」
「…そんなの、信じられないよっ…!皆の世話を焼かない平太なんて、想像できないし…。」
「おいコラ。それどういう意味だ?…話が反れたな。結局、奏は俺にどうしてほしいんだ。怒んねえから言ってみろ。」
俺より少し背の低い平太が腕を伸ばして俺の髪を優しく撫でる。
その手のひらの温もりのおかげか、俺は少しだけ素直になってみようと思えた。
「…俺だけ見ててよ。青春部に居る時はいつも通りでも許すけど…プライベートでは、俺だけに優しい平太で居て…。」
涙目で平太を見つめると、平太は優しい表情で首を縦に振った。
ゆっくりと顔を近づけてくる平太に気付くと、俺は無言で瞼を閉じた。
数秒後、唇にふわりと羽根のような口付けが降ってきた。