こっそり政宗様BDCD2019
□40 共犯
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「……こっちだ」
「えっ」
とっさに隠れた屏風裏
「失礼します。………政宗様?」
息を殺して、約束通り打ち合わせに来た小十郎の気配を探る
「………………出直すか」
遠ざかる足音に詰めていた息を緩めれば、腕の中で固まっていた姫もそっと息を吐いた
「…………付き合わせて、すまないな」
「っいえ……とんでもないです………」
久方ぶりに熱を出し、心配性の右腕に今朝まで安静にさせられていた
鈍った身体を動かしたくて、政務の前にと庭先に出れば……急な雨にずぶ濡れになった
変わりやすい夏の天気を恨んでいれば、勤めの為に部屋に来た姫の瞳が点になった
「政宗様………!?あの、とにかくお召しかえをご用意します……!」
「……ああ、助かる」
そこに、足音が聞こえて……
「………小十郎様に、見つからなくて良かったですね」
未だ腕の中に閉じ込めたままの姫が、こっそりと上目で微笑む
(………あれは、気付いているんだろうが……)
「………ああ、そうだな」
無邪気に笑う姫が、可愛くて愛おしくて
額をこつんと合わせて、しばらく二人で笑い合った
「病み上がりの自覚はございますか」
その後、打ち合わせの前にこってりと小言を聞かされる羽目になったのは、言うまでもない