こっそり政宗様BDCD2019
□150 桜の季節をあなたと
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「桜、満開ですね」
「……ああ、そうだな……」
柔らかな日差しの中、縁側から外に出て庭先の桜を政宗様と眺める
お弁当も甘味もないけれど、忙しい政務の合間にこうして二人きりで過ごせるだけで幸せだと、心から思う
「………ん?」
ふわりと風が吹いて優しい花吹雪が舞う中、政宗様の肩にぽとりと桜の花が落ちた
「あ、花ごと落ちて来ちゃいましたね。地に落ちる事なく手にされた方は、桜に祝福されているそうですよ」
桜を手に取る政宗様を見ながら、ふと昔聞いた話を思い出す
綺麗な桜に手を伸ばす者が減るよう、近所のお爺さんが子どもたちに優しく諭してくれていた
「そうなのか……では……」
「え……」
手を伸ばされて、そっとその桜を髪に挿される
驚いて政宗様を見つめれば、ふと柔らかく微笑まれた
「……可愛いな、良く似合う」
「っ………ありがとう…ございます……」
顔が火照っていくのが分かるくらい照れてしまう
「……桜からの祝福、か……」
私が落ち着けずに視線を彷徨わせている中、そっとつぶやきながら桜に視線を戻された横顔は、なぜかどこか儚く見えて
「政宗様……?」
何を想うよりも、その手を両の手で包み込んだ
「………ん?どうした?」
再び振り向かれたお顔は、いつもの穏やかな微笑み
「いえ………」
本当はもっと、寄り添いたい
何を想ったのか、聞かせてほしい
それでも、今私に下さったのがその優しさなら……
「……来年も、こうして政宗様と桜が見たいです」
「ああ、そうだな……また来年も、二人で見よう」
しっかりと握り返されたこの手が離れることのないように
次の桜の季節まで、寄り添う距離を二人で縮めていけたらと……
飾られた祝福に、そっと触れて願いを込めた