こっそり政宗様BDCD2018
□50 君に恋したあの瞬間
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「………綺麗なのに」
曇りのない真っ直ぐな目でそう言われて目を見張った。
もう二度と、誰かにこの右目を見られることなどないと思っていたのに。
意図しなかった事とはいえ、信頼を置き始めていた弥彦に見られ自身でも気づかないうちに身構えていた。
また、畏怖の対象になるのだろうと。
それなのに。
「政宗様までその瞳を忌み嫌われるだなんて、もったいないです。とっても綺麗ですから!」
自信満々でそう言い切る姿に、緊張が解け、笑ってしまった。
(お前の言葉は、なぜか素直に入ってくるな……)
こちらの機嫌を伺うでもなく、恐れるでもなくただ真っ直ぐに向けられる言葉と態度に、いつの間にか安らぎを与えられていたのだと気づく。
(きっと、あの頃から………)
「……やっぱり、綺麗ですね」
「……ん?」
「政宗様のどちらの瞳の色も、私大好きです」
縁側で二人、のんびりと月を眺めながらあの頃を思い出していると、眼帯を外した両の目をうっとりと見つめて姫が言う。
「……お前はあの頃から何も変わらないな……」
「え?」
「いや………だからこそ、俺はお前に惹かれたんだ」
俺の言葉に目を見張りぱっと頬を染める姿も、どれだけこうして傍にいても変わらない。
可愛らしく染まった頬をそっと撫でる。
「これからもずっと、そのままでいてくれ」
「政宗様……?」
「ありのままの俺を受け入れてくれたお前を、俺もありのまま……愛してる」
見つめ合ったままそっと小さな唇に口付けた。
驚いて見開かれた瞳に二色が溶けて揺れる。
それを閉じ込めるようにまぶたが閉じれば、そっと離れた。
再び開いた瞳は、熱を孕んで潤んでいて。
「政宗様……」
愛おしげに名前を呼ばれて、それだけで胸の奥が満たされる。
(こんな幸せを与えてくれるのは、姫、お前だけだ………)
もう二度と手放せないその幸福をそっと抱きしめて、何度も誓った想いをそっとその耳元で囁いた。
「必ずお前を幸せにするから……これからも、ずっと俺だけを見ていてくれ……」