短編集

□雪
1ページ/1ページ



「素敵!まっしろ!」

奥州で今年初めて雪が積もった。

一面真っ白で見るからにふかふかしているそれは、まだ早朝と言うこともあり誰も踏み荒らしていない。

(踏んでも怒られないかな……?)

政宗様の朝餉を作る為離れへの道を歩く私は、雪への高揚感を抑えられないでいた。


(ちょっとだけ、ちょっとだけ……)

さく…さく…と離への道を外れて足跡を付けていく。

(思ったよりも深い!ふわふわで楽しい…!!)

ちょっとだけと思いつつ、その感触が堪らなくて一つまた一つと増えていく足跡。


(そうだ!雪うさぎならすぐに作れるかも!)

その場にしゃがみ込み、両手に雪を掬って固めていく。

葉や実はそばに無いので、耳も雪で形作った。目は指で突いて付ける。

(ふふ、可愛い)

一匹では寂しいので、もう一匹。

先程作ったより一回り大きくして、指で左目を付け、右には眼帯を模した。

寄り添う様に二匹を並べて

「えへへ、ちょっと照れちゃう」



「何をしている?」

「ひぁっっ!」

夢中になって雪うさぎを作っていたので、その気配に全く気が付かなかった。

後ろから抱き込まれ、寒かった背中が暖かい。

「ま………政宗様………」

「こんなに冷たくなって、何をしてたんだ?………ん?」

彼の視線は私が作った雪うさぎに。

「あ、えと………雪うさぎを作ってました………」

恥ずかしくて顔を上げられない。

「………随分可愛いな」

「本当ですか!私も上手に出来たなって思ってたんです!」

褒められてついはしゃぐ。

「…………ああ、雪うさぎもな」

「え?」


振り向けば



唇に柔らかい感触。



「雪でこんなにはしゃぐなんて思わなかったな」

くつくつと笑うその笑顔と

さっきの甘い感触に


雪の様に心が蕩けた




ーーーーーー


姫ちゃんはこっそり「大好き」を溢れさせて可愛い事してて、それ見た政宗様は骨抜きにされてたらいい(*´ω`*)♡

ちなみに「ちょっと照れちゃう」も聞こえてるからね姫♡
次の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ