来年笑う
□スパイス
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ーなんだかんだであれから数ヶ月後ー
鬼「クローブですか?」
「えぇ。お持ちでしたら少し分けてもらおうと思って」
閻魔殿の執務室に昼休みが始まった頃にやってきたのは老婆姿のミサだった
鬼「すいません 私は持ってないですけど急ぎで必要ですか?」
「いえそこまで急ぎではないんですが注文したら2週間待ちと言われてしまって…」
こんなに早く在庫が無くなるとは思わなかったのでちょっと焦っただけですわと粗品石鹸のはけ具合に驚いていた
鬼「ミサさん今日の午後一緒に出かけませんか?もしかしたらクローブあるかもしれないので」
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常に春な天国の道をテクテク歩く
「綺麗ですね〜ホウキで来なくて正解でしたわ」
鬼「そういえば天国案内してませんでしたからね
今日薬を取りに行く日だったので丁度良かったです」
雑談しながら歩いて行くと一軒の家の前に着いた
入り口の横には『極楽満月』と書かれた看板がぶら下がっていた
店の入り口に着くとちょうど中から若い女の鬼と白衣を着た男が出て来た
女「ありがとうございました白澤様」
白「んーいいのいいの〜♪それより暇な時デートしようね〜」
鬼女の方はサッパリしているが男の方は甘い雰囲気を漂わせていた
鬼女を見送って鬼灯に気付くと露骨に嫌な顔をした
白「ゲッ お前かよ…」
鬼「こんにちは 薬取りに来ました。今日納品日ですけど出来てますよね?」
鬼灯は金棒の先を白澤様と呼ばれた男の頬にグリグリと押し付けながら質問していた
白「あ゙?あー。出来てるよまだ包んでないからちょっと待ってろ
ってか金棒グリグリすんな痛い」
白衣の男はダルそうに頬を擦りながら店の中に戻って行くので続いて中に入る
鬼「さっさとしてくださいね。あ。それとクローブあります?」
白「はっ?クローブ??何お前料理でもすんの?」
店のカウンターで薬を袋に包む準備をする手を止めて鬼灯の方を見る
鬼「いえ こちらのミサさんが必要でして
ミサさんこちらこの店の店主白ぶ…白澤さんです」
鬼灯が前に居たため死角になっていたらしくひょこっと後ろから出てくる
「初めまして白澤様 魔女の谷から来ましたミサ=ガーネットです
先ほど道すがら鬼灯様から聞いておりましたお会い出来て光栄ですわ」
深々と頭を下げて挨拶をする
白「お前今白豚って言うとしただろ!!
あっ初めまして 僕白澤って言うんだ
あっちで作業してるのがタオタロー君ね!よろしく ん?」
ミサの存在に気付いてにこやかに挨拶したと思ったら急に真顔になり左目をこする