企画用(短め)
□仙道✖幼馴染
1ページ/1ページ
私は小学5年生の時に親の転勤で大阪に引っ越しした。
普通は転校なんて嫌なはずなんだけど、私は喜んだ。
何故なら、幼馴染と離れ離れになるからだ。
その幼馴染からは、会うたび意地悪をされ、この頃の私は本気で嫌だった。
今、当時のことを思い出してもあまり良い気分にはならない。
ただ何も告げずに転校したことは少しばかり後悔をしている…。
何故なら…一応、初恋の相手だからだ…。
『大阪から来ました、苗字名前です。よろしくお願いします。』
パチパチ…と拍手を貰いながら先生に指定された席に座る。
親の仕事の都合で故郷へと戻ってきた私は陵南へと転校してきた。
ざっと教室を見渡した感じでは、顔見知りの同級生はいない。
1人くらいいるんじゃないかと期待したのにまたイチから友達作りをしなければいけないから残念だ…。
そう思って溜め息をつこうとしたその時、びびっと何かを感じて顔を上げると…
『あ、彰…?』
「よっ」
斜め前の席に、こちらに振り返って私を見ている幼馴染の仙道彰がいた…。
私と目が合い、ニコッと笑う笑顔は小さい頃とは違って優しい笑顔だ。
私の知っている彰の見慣れた笑顔は、意地悪な笑顔だったからそれだけでも驚きだけども、座っていてもわかるほど彰の身体は大きく、お洒落なのか私にはわからないけど髪なんか立ててセットしている。
約5年ぶりに見る彰は、想像以上に成長していた…。
「名前、久しぶり」
『え、あ、うん…』
「ん?どうした?」
『い、いや別に……』
朝礼が終わり、休み時間になるとすぐさま彰が話しかけにきてくれた。
彰の声はとても優しく、ぽわんとした雰囲気を放っていて、当時、私の鉛筆を盗んで隠したり、会うたびにスカートを捲ってきたりなど、そんな彰を知っている私には考えられず、なんだか戸惑ってしまう…。
「それにしても何も言わずに転校するなんてヒドイよなぁ…」
『ご、ごめんね…』
「まぁ、帰ってきたからいいけどさ」
机に頬杖をついてニコニコと話す彰に胸を撫でおろす。
…そうだよね。あの頃とは違うよね。だってもう5年は経ってるんだもん。
あの頃はヤンチャな餓鬼だったけど今はもうさすがに落ち着いたんだよね?
『バスケはまだ続けてるの?』
「続けてるよ」
この後、バスケ部のことを聞いたりなど、昔とは違って楽しくちゃんとした会話ができた。
お互い歳を取ったんだなーなんて思いながら話していると………
―――「おい仙道!次、移動教室だぜ!」
「やっべ!そうだった!」
クラスメイトが教えてくれ、私も彰も慌てて次の授業の教科書を取り出した。
「行こうっか」
『うん』
どこの教室かわからない私に彰が教えてくれるらしい。
そんな優しく気遣ってくれるところも、当時に比べて変わっていた。
一緒に教室を出て、肩を並べて歩いてみると改めて彰の身長の高さに驚く。
当時は私とあまり身長なんて変わらなかったような…?
そんなことを思い出しながら歩いていると、隣に彰がいないことに気づいた。
あれ?と思ってキョロキョロと彰の姿を探していると………
―――バッ!!!!!!
『ギャッ!!!?』
「うん…やっぱ下着もあの頃とは全然違うなぁ…」
『!!?!?』
彰は私のスカートを捲り、顎に手をあて、考える素振りをしながらボソリと呟いた。
『な!ななな…!!』
「油・断・大・敵♡だよ?名前チャン♡」
どうやら彼はあの頃とあまり変わっていないようだ。
Fin
.