企画用(短め)

□茂一✖仙道✖マネ
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茂「…ん?仙道、何を見ているんだ?」

仙「名前さんの脚ですよ、先生♡」

茂「…………」


真夏の体育館の中は熱気が籠り、猛練習により吹き出す大量の汗。
休憩の時間はこまめに取られていた。

仙道は水分も取らずに汗を拭きながら腰に手をあててジーッと何かを見つめていた。

そして冒頭の会話になったのだ。

田岡は、眉間にしわを寄せて仙道の顔をジッと見た。
そんな田岡を気にすることなく、ほくそ笑みながら仙道は名前の足を見つめたままだ。

マネージャーであろうが、部員ほど動き回ることがなくとも当然暑いわけで、露出が多いのは仕方がないことだ。
ショーパンからスラリと伸びる足を楽しげに仙道は見つめていた。

まったく…。と呆れる田岡だが、ふと他の部員にも視線を向けると一同、マネージャーの名前を見ていた。


「マネージャーの脚マジでたまらん…」
「俺、あの脚に踏まれて死にたい」


何を言っているんだ、と田岡は1人ズッコケる。
だが彼らも健全な男子高校生なんだということを思い出し、そんなに夢中になるほどかと名前を上から下まで横目でジッと見つめた。

髪は高い位置に結んでいて、うなじから流れる一筋の汗、そして暑さに胸元の裾をパタパタと捲っている。
そして何と言っても、すらりと伸びている足。
夏の露出の多さに、ただただ健全な男子高校生は喜んでいた。

田岡は名前を見据えて、どうしたもんかと頭を悩ませた。
特に練習に差し支えがないとはいえ、名前が部員の視線に気づいて嫌な思いをすることにでもなれば…と思うと、何か対策をした方がいいのか、それとも気にし過ぎなのか、とぐるぐると考えた。

田岡がぐるぐると考える最中、仙道が名前に駆け寄った。


仙「名前さん」

 『ん?』

仙「すんごい暑いけど大丈夫?」

 『私よりも仙道の方が…。あ、ちゃんと水分補給はした?』

仙「いや、まだしてない」

 『ちゃんとしなきゃダメだよ?』


名前に言われた通り、仙道はゴクゴクとドリンクを飲んだ。
その様子に安心したように見える名前に、仙道はにこりと笑って見せる。

すると名前は少し照れたように下を俯いた。


茂「むっ?」


ただならぬ2人の雰囲気に、田岡は思わず顔を前に突き出して目を細めた。
すると他の部員も同じことを思っているのかザワザワと噂をし始めた。


「やっぱあの2人、怪しいよなー」
「俺この前、あの2人が一緒に帰ってるところ見たぜ」
「のあああ!くっそ!狙ってたのに!」
「仙道相手じゃ無理だな…諦めろ」


噂話しにひっそりと耳を傾けていた田岡は腕を組み、仙道と苗字がなー…と眉を顰めた。

そんなこんなで休憩を終わらせ、再び怒涛の練習を再開させた。




茂「苗字君。」

 『はい』

茂「あまり口を挟みたくはないんだが…」

 『?』

茂「色恋沙汰を起こさんでくれよ…。」


キョトンとする名前に、田岡は気まずげに咳払いを一つ漏らした。

彼ら彼女らとて、まだ高校生。
色恋沙汰でも起こして、もし部活動に支障をきたすようなことがあってはいけないと思ったのだ。
信じていないわけでもないが、ただでさえ最近は不祥事のニュースをよく見るのだから念を押すのは悪い事ではないだろうと思い、口を挟んでしまったのだ。

だがキョトンとしていた名前だが、その顔は徐々に赤く染まっていき、手を覆って恥ずかし気に熱くなっていく顔を隠した。


 『すみません…そ、そんなつもりは…』

茂「いや、すまんな…一応、監督として…」

 『わかってます…でも何でわかったんですか?隠してたのに…』

茂「見てたらわかる。」

 『そ、そうでしたか…』


耳まで赤く染める名前に、柄にもなく可愛らしいなんて思い、首を横に振る。


 『でも私は卒業するまで何もしないでおこうって決めてましたから…っ!』

茂「………?」


必死な形相になって言い放つ名前の言葉の意図が分からず、田岡は首を傾げた。


茂「どういうことだ?卒業するまで仙道とは付き合わないということか?」

 『えっ?』

茂「えっ」

 『仙道?』

茂「仙道。」


先ほどまで顔を赤く染め、可愛らしかった名前とは一変、目が点になっていた。
そんな名前の顔に、田岡も目を丸くさせた。

名前と田岡は会話が噛み合っていないようだ。


茂「仙道とは付き合っているもんだと思ったんだが…」


田岡は目をぱちくりと瞬きをし、違うのか
?と名前に問いかけた。


 『え!違いますよ!何で仙道なんですか!?』

茂「さっきの休憩でそんな雰囲気が…」

 『あ、いや、あれは…なんていうか…』


顔を顰めて目を落とす名前に、田岡は余計な事をしたかとすぐに後悔をした。


 『仙道から物凄いアプローチは受けてますけど…』

茂(せ、仙道め…!)


勝手に勘違いをしたのは、噂をしていた部員と、そしてそれを信じてしまった自分。
仙道を責める義理などないはずなのに思わずギリ…ッと歯を食いしばって怒りを抑えた。
きっと隣に仙道がいればゲンコツを食らわしていただろう。


 『仙道の事は私は何とも思ってません…』

茂「そ…そうだったか…すまんな…早とちりをして余計な事言ってしまった。」

 『い、いえ…』


大の大人が口を挟むとロクな事にならんな…と、田岡と名前の間からは気まずい雰囲気が流れ、この場から逃げようと模索する田岡は、「コラ!ボールは最後まで追わんか!!」と部員に怒声を浴びせ、練習に意識を向けた。

だが名前はジッと田岡の横から離れないでいた。

どうしたもんか…と、そう思った時…


 『私が好きなのは田岡先生です…』

茂「……………………………………………は?」

 『卒業するまで言わないでおこうと思ってたのに…先生のせいなんですから…!』


そう言って名前はやっと田岡の隣から離れた。










茂「………………え?俺?」





Fin

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