企画用(短め)
□越野✖マネジ
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「おい、何だよ!」
「いいから」
「やめろ!放せ!!」
―――ガン!!!
強引に連れてこられた越野は、同じバスケ部の同級生に体育倉庫に閉じ込められてしまった。
「おい!開けろよ!!」
ガンガンガン!!と閉められた扉を叩き、怒声を上げるが…。
〈30分後に様子、見に来るからそれまでに仲直りしろよ〉
「はぁ?!」
扉の向こうから聞こえた同級生の声に「ふざけんなよ!」と返すがその言葉に対しての返事はなく、扉の前から気配がなくなり、もう一度扉を叩いて呼びかけてもやはり反応がなく、チッ…と舌を打って跳び箱にイライラしたように座った。
そして越野が閉じ込められる前、先に閉じ込められている先客がいた。
それが…
『仲直りも何も、喧嘩してないのにね。』
「……………」
それが苗字名前。
バスケ部のマネージャーで、越野と同じく2年生。
越野が座っている跳び箱の横の畳まれて置かれているマットの上にちょこんと座っている。
2人は喧嘩真っ最中なのか、部活中にも関わらず険悪なモードが続いており、部員たちも気を遣うことに疲れて強引なやり方ではあるが2人っきりで話す機会を与えたというわけなのだ。
そしてその肝心な2人は、喧嘩をしていないと言う名前と、不機嫌そうに眉間に皺を寄せる越野。
どうやら越野は喧嘩をしていないとは思っていないようだ。
「お前さぁ…」
『うん?』
「浮気してんだろ」
『…………』
突然、確信をついたかのような言い方をする越野に黙ってしまう名前。
何も言い返さない名前に越野は図星だと思い、返事を待たずに言葉を続けた。
「俺のこと…嫌い…?」
名前は静かに首を横に振った。
「じゃあ俺のこと、好きか?」
『…………』
この問いには名前]は黙ってしまった。
一瞬、眉間に皺を寄せたが感情的になるのを抑えて深呼吸をし、名前を見据えた。
「なにも浮気しなくてもいいだろ…?」
『そんなんじゃ…』
白々しい名前に歯をギリッと食いしばる。
“”大人になれ、俺!””と今すぐにも怒鳴りたい気持ちを必死に堪える。
「相手はわかんねーけどお前がたまにキャーキャー言ってんの知ってんだよ…。」
『…………』
「急に素っ気なくなるし、既読無視するし、その割に最近はすげぇ楽しそうだし…他に好きなやつできたんだろ?」
『…………』
「相手は仙道?」
『…………』
黙りこくる名前に越野は…
―――プッツン
と、キレた。
「いい加減にしろよ!!黙ってたらわかんねーだろ!!」
『…………』
「お前、俺の気持ち考えたことねーのかよ!?」
『…………』
「なんとか言えよ…!」
声を荒げた越野は名前の顔を見てハッとする。
あまりにも困惑している顔をしていて、つい言い過ぎたかと後悔をした。
腹が立っているとはいえ、好きな女の子が相手だ。
越野はバツが悪そうな顔をして名前に謝ろうとしたその時…。
『関係ないじゃん…』
「………は?」
『越野には関係ないじゃん』
「お前、それ本気で言ってんのか…?」
さすがに越野は立ち上がり、名前の前に立った。
だがしかし、名前も立ち上がって越野を睨み上げた。
彼氏に対して関係ないなどと言う名前に、遠慮することをやめた。
俺は悪くないのだから何を言ってもいい。そう思った。
睨んでくる名前に、受けて立つと言わんばかりに越野は見下ろした。
そして…
『そもそも、いつ私たちが付き合った?』
「…………エッ。」
目を点にし、驚きのあまり声は裏返った越野だが名前は気にせず続けた。
『ただ仲良くしてただけじゃん!私、越野のこと好きって言った?越野は私に好きって言った?付き合おうって言った?』
一呼吸入れることもなく告げた名前に、越野は思わず頭を抱えた。
「え…だって……何回も一緒に帰ったし…毎日、LINEしたし…」
『友達と変わんないじゃんか』
「と、ともだち…?」
頭を抱えて絶望する越野を横目に名前は扉に向かって歩き出した。
『私もなかなか言い出せなくてごめんね…越野のことは友達として好きだから…』
「待てよ…お前…じゃあ、誰が好きなんだよ…?」
このままじゃ引き下がれない、諦めがつかない…瞬時にそう思った越野は好きな女の子相手にプライドなど捨ててつい聞いてしまった。
だがそれはすぐ後悔することとなる。
何故なら…
『先生…』
「…せんせい?」
『田岡先生…』
「………………ハァッ!?」
『内緒だよ?』
そう呟いて、名前は普通に扉を開けて体育倉庫を後にした。
いつの間に扉の鍵は開けられたんだ…そう思うよりも、名前が田岡先生を好きだということに開いた口が閉まらない。
「…ん?越野、こんなところで何やってんだ」
そして運悪く現れた田岡茂一、41歳。バスケ部の監督。
「お……お……俺は……オッサンに負けたのかよ!!!」
「オッサン…?誰のことだ、それは」
終われ
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