らんま

□ありったけの華と花
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「凄いものを見つけたんです…!」


そういってわたし達の学校…風林館高校の校門の前で待ち伏せていたのは黄色いバンダナが特徴的な良牙君。私を見つけるや否や、開口一番身を乗り出してなにやら凄いものをみつけた!と万遍の笑みで彼はそう言った。



『凄いもの?』
「そうなんです!是非名前さんに見て欲しくて…」


純粋で真っ直ぐな良牙君はキラキラな瞳で私に言う。何だろう?良牙君の言う凄いものって…
何でも良牙君は"見てからのお楽しみです!"なんて言うからその凄いものが何なのか教えてくれないのだ。


「ですから、名前さん!今週の日曜日僕とその凄いものを見に行ってくれませんか!」


顔を赤くして私にいう良牙君は何だか可愛くて、


「良牙君!それってもしかしてデートのお誘い??」


あかねが隣から言うから、良牙君はあああいやぁそんなんじゃと否定する。そうだよね…期待しちゃダメだよね。
あかねがデートなんて言ったから少し期待してしまったけど、それも大きな間違いだと自分に呆れつつ、日曜日にその"凄いもの"を見るべくOKをした。


乱馬にその夜話したら


「けっ、下らねぇ」


と素っ気なく返事をされてしまってその日は終わった。片想いと言えども良牙君と2人きりでお出かけなんてやっぱり私はどこか気持ちが弾んでしまっていて、良牙君の気持ちも分かっているのに、けど嬉しくて少し期待なんてしてしまっていて、そんな内にあっという間に日曜日。


『そう言えば、良牙君この待ち合わせ場所まで来れるのかな…』

なんて心配をよそに駆け足で右手を振る良牙君の姿が見えてほっとしたと同時に少し緊張が走った。


「ありがとう!名前さん!」
『ううん!こっちこそ嬉しいな!』


誘ってくれてありがとう!と伝えると良牙君の頬は少し赤くて、熱でもあるのかな?


「あっ!名前さん、この先です。僕が良いって言うまで目を閉じておいてください!」
『えっ、うん。分かったよ!』


目を閉じると、転ぶといけないからと言って良牙君は私の手を取って目的の場所に向かう。目を閉じてても良牙君の手の大きさと熱が伝わってきて少し鼓動が高鳴る。すると良牙君が不意に止まるから、私も一緒に止まった。


「着きましたよ!」


そこにはコスモスの花がたくさん。白にピンクに赤に色とりどりの花が咲き誇るコスモス畑が辺り一面に広がっていた。


『良牙君っ!凄いね!本当に綺麗!でもどうしてここを?』
「修行の帰りに道、彷徨って歩いていたら偶然見つけて…その…」


何やら口篭る良牙君。


「名前さんと見たら絶対にもっと綺麗だろうなっておもって…」
『わ、私!?』
「はい!名前さんの様な純潔な乙女に似合うだろうなっておもって…!」



『良牙君、それ、コスモスの花言葉だよっ?』

「しっ、知らなかった…」





(乙女の純潔)




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