《夢100》夢小説

□甘い口付けを君に
2ページ/2ページ



ミヤ「………ケーキ、俺一人で全部食べちゃった…」


名無しさん「…え…?」



ミヤは申し訳なさそうにシュン…と顔を俯かせてしまっている。
それを聞いた私は小さく息を吐き、彼の顔を覗き込むり


名無しさん「なんだぁ…そんなことかぁ。あれはミヤの為に作ったものなんだから、ミヤが全部食べても良いんだよ?」



笑顔で話し掛けるとシュンとした瞳のまま、視線が交わる。



ミヤ「でも…せっかく君が作ってくれものなんだから、一緒に食べるべきだよ…。俺ってば、あんまりにも美味しくて、嬉しくて…気付いたら全部食べちゃってた…」



申し訳無さそうに言う彼に、私は首を横に振り、笑顔で話す。


名無しさん「ううん。ミヤが喜んでくれて、私とっても嬉しいよ?だから元気出して…ね?」


ミヤ「…名無しさんちゃん…」


名無しさん「また今度ケーキ作ったら、その時は一緒に食べよう!」


ミヤ「…うん!」





ミヤに笑顔が戻って安心した私も、また口元が緩んだ。





名無しさん「ミヤの笑顔、大好き…」



自然と思った事が口から出てしまい、ハッとして一気に頬が熱くなり、手で口を抑えてミヤから視線を逸らした。






ミヤ「…名無しさんちゃん…」





名前を呼ばれて、彼を見ようとしたけど、それよりも先に彼の腕が腰に回され、彼の身体に引き寄せられた。

そして熱を持った頬に、ミヤの大きな手が触れる。
視線が交わって、まっすぐに見つめてくる彼の瞳に吸い込まれそうになった。


ゆっくりと彼の顔が近づいてきて、互いの額がくっつき、鼓動が高鳴る。
そのままミヤが優しく囁いた。



ミヤ「俺も…名無しさんちゃんの笑顔が大好きだよ。離れてる間…ずっと恋しかった…。」


名無しさん「…ミヤ…」


ミヤ「……名無しさんちゃん…キス…したい。…いい?」



ミヤが更に私の腰を引き寄せて、切なそうな瞳で口付けの許しを請う。



名無しさん「…っ…」



耳元で鼓動が鳴っているかのようにうるさかった。
でも、彼の私を求める視線は胸を締め付ける程に幸せで、拒む理由なんてどこにも無くて、小さく頷いて目を閉じた。






名無しさん「……ん…」





そして、ミヤの唇が私の唇を塞いだ。
鼓動は速いままなのに、優しく啄ばむミヤの温かくて柔らかい唇が心地よくて、安心する。






名無しさん(…キス…気持ちいい……)





やがて、ゆっくりとミヤの唇が離れて行く。
それが少し寂しく感じた。


ギュウッと深く抱き締められて、ミヤの手が私の髪を撫でる。
その手も逞しい腕の中もとても心地良くて、目を閉じて彼の胸に頬を当てる。
密着した彼の胸からは、私と同じ様に速い心音がした。



名無しさん(…ミヤもドキドキしてる…)



自分と同じ心境なんだと思うと、また胸が甘く締め付けられた。
ゆっくりとミヤの広い背中に自分の腕を回す。






ミヤ「…参ったなぁ…」


名無しさん「…え…?」


ミヤ「君が可愛すぎて…離れられそうにないや…」


名無しさん「…っ」





ミヤの言葉にまた頬に熱が宿る。
だけど嬉しくて…もちろん、自分も離れたくない。
たった数日かもしれないけど、彼の居なかった時間はとても長くて、寂しかったから。






名無しさん「…わ、私も…離れたく、ないよ…」


ミヤの背中に回している腕に少し力が込もる。
恥ずかしくなってそれ以上何も言えずに黙り込んでしまう。








名無しさん「…っ!」




突然身体が宙に浮いたかと思えば、ミヤに抱き上げられていた。
驚いてミヤの顔を見ると、彼の頬は私と同じ様に赤く染まっていた。

そのまま彼は歩き出し、ベッドの上に彼が覆い被さる形で降ろされた。




名無しさん「…ミ、ミヤ……?」


ミヤ「……離れていた分…名無しさんにいっぱい触れたいよ…」


ミヤの切なく熱っぽい瞳と声に、息が止まりそうな位胸がときめいた。
彼のがうつったみたいに私の身体にも熱が宿る。




名無しさん「…私も…ミヤに、触れたい…」


ミヤ「名無しさんちゃん……」




ミヤの両手に優しく頬を包まれて目と閉じた。

そっと彼の口付けが落とされるとまた身体中が幸福感に満たされた。





次第に口付けは深くなっていって、彼の熱くて柔らかな舌に私の舌が絡め取られる。





名無しさん「…ん…ッふ……」





その度に痺れる様な感覚が身体中に広がって、意識がボーッとしていく。

ミヤの唇がゆっくりと離れて、吐息がかかる程の距離のまま見つめ合う。




ミヤ「…名無しさんちゃん……好きだよ…」


名無しさん「…私も…ミヤが好きだよ……」





恥ずかしさよりも、愛しい人への想いを伝えたくて、自然と素直に言葉に出来る。






夕日が窓から差し込み、ミヤを温かい茜色が照らす。
夕日の色のお陰で、頬の赤みが誤魔化されてしまうけど、きっと私もミヤも真っ赤になっているんだろうな…。







その柔らかい光の中で、また唇が優しく、深く重なり合った。











彼とのキスは、幸せな甘い香りと味がしていた。














おわり。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ