長編≪リボーン≫

□9話「バレンタインデー」
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今日は女子が浮足立つ日…そうバレンタインデー。
放課後にもなると女子が好きな男子にチョコを渡すために群がる。
風紀委員長にとってみれば最悪な日だ…

雲「また群れてる…」

見回りに行こうかと思ったが今日くらいは目をつぶろうと窓際で頬杖をついて考えていると…

『失礼します』
雲「やあ」
『やあ…じゃないですよ 呼び出しといて…』
雲「手伝ってほしいことはないんだけどね 暇だから」
『なっ! それだけのために……でも珍しいですね…チョコって不要物じゃないんですか?』

梨佳はお茶を入れながら雲雀に問う。
雲雀は椅子に座りながら答える。

雲「今日くらいはゆるすことにするんだ」
『明日は槍が降るんですかね?』
雲「咬み殺されたいの?」
『だって 何が目的でそんな風紀委員長らしくないことを?』
雲「草食動物に少しでもいいことを与えなきゃでしょ」
『はぁ……』
雲「それで?」
『はい?』
雲「僕には?」
『作るとお思いですか?』
雲「ふつうはね」
『あなたの普通と私の普通は違いますから』
雲「それじゃあ 彼らの幸せを壊してこようか…」
『やはり目的はそこでしたか…』
雲「僕が梨佳からもらえないなら目をつぶる必要もないからね」
『まったく…生徒の運命握っていたとは…』

梨佳はソファでお茶を飲みながら鞄をあさる。
雲雀は扉に向かうが途中で足を止める。
後ろから物が飛んできていることに気が付きそれをつかむ。

雲「渡し方は最悪だが いいだろう」
『まともに渡すとでも?』
雲「それでこそ梨佳だよ」

きれいにラッピングされている箱。
雲雀は自分の椅子に座り それを凝視する。

『そんなに見ないでください それに甘いものは嫌いだったのでは?』
雲「今回はいいんだよ それに君はそのことを知っているから よほどの嫌がらせではない限りないだろうと」
『なるほど 開けてもいいですよ』
雲「言われなくても」

雲雀はラッピングを取り箱を開ける。
その中にはチョコが入っていた。

雲「これは?」
『チョコトリュフです 簡単だったので』
雲「いただくよ」

雲雀は一つ取って口に運ぶ。

雲「ビターだね 甘くなくて好きだよ」
『それはよかったです』
雲「また作ってよ」
『もう作りませんよ それではこれで失礼しますよ』
雲「いいよ これありがとう」
『いいえ…では』

梨佳は応接室を出ていく。
雲雀はチョコを食べながら何を思うのか…


『あんなに気に入ってもらえるとは思ってもなかったですが悪くはないですね』

梨佳も少しだけ嬉しそうに帰るのであった。

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