長編≪テニス≫

□2話
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翌日 学校に行きクラスへ行くときょろきょろとクラスを渡り歩いている男子生徒がいた。
どこかで見たような気もするが無視をしてクラスへと入っていく。
すると―…。

真「あ! そこの!」

と早歩きでこちらに来た。

真「やっと見つけた!」
『はい?』
真「昨日テニスコートで声をかけてきた女子だろ?」
『あ…』

帽子を被っていなかったから気が付かなかったが確かにテニスコートで声をかけてしまった男子だった。

『あの時の…』
真「お礼を言ってないかったのでな」
『別に…』
真「いいや! 礼儀はきっちりせんと気が済まぬからな! 昨日はありがとう! 君の言った通りにしたら打ちやすくてな」
『………』
真「俺は真田 真田弦一郎というものだ」
『…忍足…悠樹です』
真「忍足だな! このお礼は必ずする!」
『いや 別にいらんし…』

と驚きのあまりつい訛りがちょっとだけ出てしまった―…。

真「いいや! 俺の気が済まんと言っているだろう! 何か欲しいものはあるか?」
『何もないので それにお礼だけ言って貰えたから別に…』
真「そ…そうか…それとまた指導をしてくれないだろうか?」
『へ?』
真「ちょっとでもいいんだ! オレ以外にも同学年が数人いて…強くなりたいのだ!」
『はぁ…』
真「テニス部に入れとまでは言わん! 見に来てはくれぬか!」

朝 教室の前で告白のような状況に生徒たちは黙ってしまう―…。
女子の中にはコソコソ話しているものもいる。

『あの…一つ言ってもいいかな? 別に見に行く分には何も文句はないけれど指導は私にはできない』
真「……」
『まぁでも…空いた時間でいいのなら見に―…』
真「ほんとうか!!」
『ひゃ!』

肩を思い切りつかまれて変な声が出てしまった。

真「あ…す スマン! 痛くなかっただろうか?」
『まぁ…』
真「それでは開いた時に来てくれ! 先輩には言っておく!では!」
『あ…』

颯爽と自分の教室に戻っていく真田くん…。
武士のような人という第一印象だった。

しかし学校で始めてこんなに話したとちょっとだけ嬉しくもあった。

その翌日からテニス部によく顔を出すようになった。
一年の真田君含めた三人とゆっくりだが普通に話せるようになっていた。
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