相愛smell 2

1話
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貴方side









轟「...じゃあ......。

......麗日に、ケーキ屋を勧められた。......そこに、行かないか?」









私たちがこれから向かう帰り道とは
違う方向を指さして







轟「......ここから、歩いて少しの所だ。」







と、轟くんは私を見る。






さっきの会話は、なんだった?






私は、誘われたらなんでもする...っていうタイプじゃない。

...って、話だったはず。





「.........轟くん。」







轟「...断る時は、しっかり断るんだろう?」












..........試されている......?





今からケーキを食べに行こう...なんて
もちろん急だし、なんの準備もしていない。




......本当に断れるのか...試されていたりする?









多分、怪訝な顔で見つめている私を
轟くんは特に表情も変えずに、同じように見つめる。




何も答えれずに、ただただ見つめていたら







轟「...急に誘って、悪いと思ってる。

断ってくれても構わない。......また、今度改めて誘う。」







と、少しわざとらしく時計を見た。






「......“今度”があるのに、どうして今日...誘うの。」






...私がそういう話をしたから...?



そう聞くと、きょとんとした顔をして













轟「..............まだ、香野といたいから。」













「.............!!」







轟「....だから。............誘ってる。」







と、恥ずかしがることもなく言い切った。



......何それ。














「......................行く。」














たった二文字を答えるのが恥ずかしくなる。





私の答えは、ある意味

“私もまだ轟くんと一緒にいたい”

と解釈できるから、本人にそう解釈されてなくても
なんというか...自覚している分、こっちが恥ずかしい。














こういうことが、付き合いだしてから
割と頻繁に起こる。



無自覚なのか、わざとなのか
それすら分からず、私だけがしてやられた感があって悔しかったり。
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