相愛smell

6話
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貴方side



私の部屋に入った父さんは
ベッドで寝ている私の隣に座った。






父「...母さん、心配してたぞ。

お前が風邪引くなんて...珍しい。」







小さく笑って、熱のせいで熱い頬を撫でた。







「...心配してくれてたなら、ありがとう。」



父「......この時期だ。いろいろ大変だろ。」







今......父さんと2人きりの今しか
個性について、いろいろ聞けないと思った。




「...父さん...あのさ。」









父「......母さんから、聞いている。」









「..........え。」





私が何を聞きたかったのかが、父さんには分かっていたようで
風邪のこともあったけど、その...個性についても話すつもりで部屋に来たらしい。


......私があまり、悩まないように...。











父「...個性を持っているのは、たしかに母さんだ。

けどな。......そういう個性がなかったら、たぶん...お前はここにいなかった。」











「.............本当なんだ...“香り”の個性...。」






......“運命の相手”にも、香りがするってこと...。













父「....個性について...
聞かされていない方からすれば、焦る事しか出来ない。

ある日、急に、気になってた人から目が離せなくなるようなものだからな。」













その頃を思い出してか、父さんは
やわらかく笑って、満足そうに私の頭を撫でた。














父「............もちろん、後悔なんてしてない。」














..........!!





...また...聞く前に......。





“運命の相手”なんて言ってるけど
その相手と結ばれることが、本当に幸せなのかは分からない。


...だって、個性で結ばれるのは...考え方によっては





......強制的だ、とも言えるから。






だから、父さんにその辺を
一意見として聞こうとしてたのに...。











父「......お前の言いたいことも分かる。
どっちかと言うと、俺に似ているからな......名無しは。」












まあ......私は母さんみたいに
頭の中までお花畑みたいな、平和的な考えより
どっちかというと、シビアな考え方をする派だと思ってる。



そういう所は父さんに似てるって
母さんにも今までに何回も言われた。





......外見は母さん似らしいけど。















聞く前に答えられる、って
なんて言うか......しっくりこない。




聞きたかったことは(聞く前に)答えてくれたから分かったのに
どこか、腑に落ちない。





そんなモヤモヤとした感じからか
思わず父さんの方を見て、顔をしかめると














父「......自分の思うように生きればいい。
個性に頼る頼らないは自由だが、少なくとも俺は...。

個性に関係なく、母さんのことも名無しのことも......全部まとめて大事に想ってる。」














と、また頭を撫でて立ち上がる。




そして、そのまま部屋を出ようとする父さんに
私はあることを思い出して、口を開いた。
















「...父さん。

......イチゴ牛乳、って......ウチにある?」
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