相愛smell

3話
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貴方side








運命の相手を求めたら、個性が発動する。








つまり、轟くんが本当に私の運命の相手なら
彼が私のことを求めた時に、そこで初めて、好きになってしまうくらいの香りがする。



......求めるか?......私のこと。



.................いや。











.................ムリゲーでしょ...これは。













「...リョ―が言ってたより、ずっと...。

..............難易度、高いじゃん...........。」













母「.......??

...名無しちゃん、何か言った?」





「......いや...なんでもない。」





...まあ、そんなに都合の良い個性なんて無いでしょ。


一族滅亡を防ぐための個性...とは言え
そんなバンバン運命の相手と結ばれてたら、逆に特別感...無くなるわ。











母「......あ!!
そう言えば、まだお母さんとお父さんが付き合うまでの話、してなかったわよね!」










私が紅茶を飲もうとした瞬間。



母さんは嬉し気に







母「......あの日は......。」







と、勝手に話し始めた。










「...あー...いい、いい。

母さん、長くなりそうだし。...父さんから聞く。」





母「......えぇー......。」









あからさまに不機嫌そうな顔をするけど
何が嬉しくて、両親の馴れ初めを聞かなきゃいけないんだ...。



..........普通に、聞きたくない。












「...私、宿題するから。
......ほら...父さん、帰ってきたよ。...晩ご飯の準備は?」













玄関から、ドアの開く音と父さんの声がして
紅茶を飲みほして、お盆の上に乗せた。







母「......あ!

準備、まだしてないわ!」







母さんはハッとしたように立ち上がって
お盆を持って、やけに慌ただしくドアを開けた。



そのまま出ていくのかと思いきや
クルリとこっちに振り返って
















母「...名無しちゃん。
うまくいかないからって、諦めたら...次は、きっと無いわ。


......恋だって何だって、頑張れば最後は報われる。
お母さんは、そう信じて...お父さんと結婚出来たんだから!」















と、ウインクを1つして
部屋を出て、リビングに向かった。

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