相愛smell

3話
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貴方side




ミキから、電話の30分ぐらい後に

『リョ―もマメも、電車のこと賛成だって!』

と、メールが来た。









「..........早い......。」









確認が早すぎるんだけど......。



...リョ―もマメも、即答し過ぎじゃない...?





......それに......。












「......運命の人じゃ...ないんだけど。

...............たぶん...。」












少しの期待を含ませて“たぶん”とか、付け足してみる。



......いや、そもそも誰に向かって言ってんの。








「......まあ...月曜まで2日ある。」








考えるには、十分すぎる。








目の前の赤と白の花を、手に取って見る。



これを轟くんは、お母さんに持って行く...。











「......そっくり過ぎて、笑われないかな...。」











轟くんがこの花を持って訪ねるのを想像して
思わず笑ってしまう。


花屋さんの時は、袋に入れてくれたけど
病室で袋から取り出した時、轟くんが2人いるように見えたりして...。













母「...名無しちゃん?

...ちょっと、入っていもいい??」













1人でクスクス笑ってたら、母さんが部屋に入ってきたから
慌てて花を机に置いた。





母「......なあに?...そのお花...?」













「...............もらったの。」













母「..........あら...。」





私の反応に、なぜか目をキラキラさせる母さん。





母「......少し、話してもいいかしら。」





母さんは平机の方に、持ってきた2人分の紅茶を置いた。



座った母さんの隣に座り直しながら


......何も勘付くようなことは言ってないはず...。


と思った矢先。














母「......“香り”について...何かあったんでしょう?

..........そういう顔してる。」














と、ニコニコ嬉しそうに笑う。




「...な...なんで...。」




母さんは、紅茶を少し飲んだ後
頬を膨らませて、唇を尖らせた。











母「...だって、お母さんも、同じこと言われたのよ。
......あなたのおばあちゃんに。

...お父さんのことが、好きになった時に。」











直球で聞いてきたんだから!



...とか言うけど、自分も同じような事をしていると
教えてあげたい。















母「..........娘のことだもの。

......顔を見れば、案外分かっちゃうものよ?」















嬉しそうに、満足そうに。



母さんは笑って、私の頬を撫でた。

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