相愛smell

1話
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貴方side






「...大体、もう3年も見つかってないから。」






......3年。



同じ中学なだけあって、現実味があったのか
ミキは黙り込んでしまう。




何かを考えている様子のミキを見て









リョ―「...お!...じゃあ、俺なんてどう??」









と、リョ―はスマホを持ってない方の手で
自分を指さした。











「......リョ―、いい匂いするし...。

...嫌いじゃないよ、この匂い。」







リョ―「...嬉しいねぇー、サンキュ!」






私の頭を少し荒く撫でるリョ―を見て








ミキ「リョ―より私の方が、絶対いい匂いするから!」








今度は、ミキがムスッとした顔で
私に抱きついた。


途端に香る、ミキの匂い。











「...レモンティーみたいな匂い。」











ミキ「...ちょっと!...それ、褒めてる!?」






安心する匂い、と言い直したら
渋々納得してくれた。




私たちの会話を聞いていたマメは
何かを思い出したみたいに、パァっと笑って







マメ「私は、私は...!?

...実はね!...柔軟剤、変えてみたの!」







と、ミキと同じように私に抱きついた。



..........本当だ...匂い、変わってる。


..........けど......。













「..........前の方が、好きだった。」












マメ「......えー...そんなぁ...。

...じゃあ、柔軟剤...戻そう、っと。」







「...え...私の意見なんかで戻さなくても...。」











マメ「...だって、名無しちゃんにいい匂いって言われるの...すっごく嬉しいもん!」











ミキ「マメ、それ分かる。」






マメの言葉に、うんうんと頷くミキ。




リョ―を見たら

俺は答え方によっては、変態扱いされるから

と言ったけど、否定はしなかった。











「...あ...ありがとu........っ!?」











その気持ちは嬉しくて、お礼を言おうとした時だった。






何人かが、私の横を通り過ぎる中
ふわりと...一瞬違う場所に...お花畑にでも立ったくらいの香りが広がった。


やさしくて、ふわふわと浮いてしまいそうな...。


......そんな、花みたいな匂い。















「......え...何...今の匂い...。」














自分の好きな匂いなんて、嗅いでしまえば
一瞬で分かった。





......私...さっきの匂い、好きだ......。





キョロキョロと、通り過ぎた人を目で追うと
赤と白の変わった髪が視界に入って、その人から目が離せなくなった。

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