心の容量

4話
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貴方side






「...人命救助訓練かぁ...。」






コスチュームに着替えるための更衣室で
思わず、ポツリ。




朝から楽しみにしていた
今日のヒーロー基礎学は、人命救助訓練だった。




私の初めてのヒーロー基礎学。




せっかくなら、ヒーローっぽく
戦闘系がよかったんだけど
人命救助もまた、ヒーローの大事な仕事だよね...うん、大事。







蛙「...............あら。
なんだか浮かない顔ね、名無しちゃん。」







大事、大事、と自分に言い聞かせる中
梅雨ちゃんが、私の顔を覗き込んだ。






「...私、みんなの個性見たかった...。
人命救助は、個性使うかな?」






耳「...場合によるんじゃない?
......ウチのは、使わなさそうだけど。」




「...............そっかー。」




それは、ものすごく残念。










みんな、各自で着替えを済ませていく。



コスチュームには、それぞれ特徴があり
着るのが大変な人も、簡単な人もいる。




私なんて、特に簡単。




初めてコスチューム着るのに
1番に着替え終わって、ボーッとみんなを待つことにした。






葉「着替えたらバスに直行だよね?」





芦「直行、直行ー!」






みんな、着替え終わるのを待つのかと思ってたら
終わった人から、更衣室を出ていってしまう。






麗「...わっ...みんな待って...!」






1人で行くの...不安だな。



あと少しで、お茶子ちゃんも着替え終わりそうだし...。





そう思って、お茶子ちゃんを待って一緒に更衣室を出た。







* * *








飯「バスの席順でスムーズにいくよう
番号順で二列に並ぼう!」








バスの駐車場では
飯田くんがここぞとばかりに声を張る。




みんなも、笑いながら番号順に並ぶ中。








「......ぉぉお......!
轟くん、コスチュームすごい!

もものは......エロいね!」








私は、初めて見るみんなのコスチュームにテンションが上がっていた。





何せ、コスチューム。





テンションが上がってしまっても、仕方ない!








轟くんのコスチュームの
...凍っている?半分側をツンツン触っていると







轟「......哀瀬のそれは......私服か?」







轟くんも、また
私のコスチュームのひとつであるマフラーに手を伸ばす。








「え、まさか!((笑
ちゃんとした、コスチュームだよ。」








たしかに、私のコスチュームは
みんなみたいに、装備するものがない。



普通の服に、普通のスカート。



後は、中学の時にお母さんがくれたマフラーを巻いてるだけ。







...ぁ、ホントだ...私服っぽい((笑







今更気づいた、と轟くんに言うと

着る前に、何か思うだろ...普通

と、笑われてしまった。






じわじわ恥ずかしくなり
ももの後ろに隠れると







八「......溢れ出る私服感......。」







ももにも、笑われてしまった...。

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