相愛smell 2

1話
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貴方side








轟「.....香野、雨...降ってきた。」








私の好きな人は。




世間で名高い雄英高校生で
歩いているだけなのに、女子がチラチラと見るほどかっこよくて

なにより。










轟「......今日はカサ、使いものになるか?

また風邪引いたら、最近暑くなってきたからしんどいかもな。」









やさしい。


















駅から出ようとしたら
タイミング悪く、雨が降り始める。



カサを持ってない人たちが、慌ただしく走っていく中
隣で透明の大きなカサを開く轟くんを見つめた。




轟「..........??」




視線を感じたのか、こっちを向いた轟くんと目が合って






轟「........入るか?」






と、首を傾げる。









「......カサ、持ってる。」









少し小さい、だけど折りたたみカサよりは大きい
淡い緑の、まだ開いていないカサを見せた。









轟「...入りたいなら、持ってても入ればいい。」




「..........それって、違和感...すごくない?」






轟「......っふ。...確かに...すごいかもな。」









付き合い始めてから、お互いの知らない表情を見る機会が増えた。




轟くんの、時々見せるこの笑顔は
どこか幼さが残って、普段の笑顔とは違っていて新鮮味を感じる。


かわいく感じて、頭とか撫でたくなる。


......今度、撫でてみよう...と、毎度この笑顔を見ると思う。













轟「..........お?」




閉じたカサを持ったまま轟くんの隣に並ぶと





轟「.....入るんだな、結局。」





と、楽しそうに笑う。







「......誘われたので。

...誘われたので、入ります。」







轟「......誘ったらなんでもするのか...?」









「...時と場合に寄るよ。

......断る時は、しっかり断る。」









私にだって、都合というものはある。



断る時は、はっきりと断れるタイプだし
なんなら断ってきたことの方が多いかもしれない。









2人でカサに入って駅から出ようとした時だった。






轟「...じゃあ......。」






轟くんは、歩き出そうと踏み出した足を、すぐに止めてしまった。
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