相愛smell

8話
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貴方side









?「......あ、あの......大丈夫ですか?」









「......え?」





轟くんのことを見ているのが辛くなって
その場にしゃがんで、俯いていたら、声をかけられた。




ふと顔を上げると、緑色のふわふわした髪の男の子が
私を、心配そうに見ていて










?「...あ、えっと!

......こ、こんな所にしゃがんでいたから...体調でも悪いのかなって...!」










と、慌てながらも手を差し伸べてくれて






「......あ...す、すみません...。」






申し訳なく思いながらも、その手に掴まり、立ち上がった。










かなり心配してくれていたのか、立ち上がった私に

フラフラしないか

どこか痛かったのか

必要なら、病院まで送る

など、いろいろ言ってくれたけど
どこも何ともないからそう伝えると、安心したように笑った。






笑った緑色の髪の彼もまた
轟くんと同じ制服を着ていることに気がついて









「......その...制服って......。」









と声に出してしまい、慌てて口を手で押さえた。




私が言ったことが何かまずかったのかと
その男の子は首を傾げた後、ハッと気づいたように










?「..........??

.....あ!......もしかして、轟くんの言ってた...!」











嬉しそうに?大きな声で言った。









「..........っ!!」






?「......え、あ、あの...!!」










彼が轟くんと知り合いだったことと
さっきの大きな声で、轟くんがこっちに来ることを恐れて
私は咄嗟に走り出していた。




後ろから、私を呼ぶ声がした気がするけど
振り返らずに、もう1度。

駅の方向まで走って戻る。







「......っは、はぁ...!」







風邪の病み上がりだったせいか
いつもよりすぐに、息が上がってしんどい。


体の中から熱が這い上がってくるみたいな感覚がして
私の元々の個性、トロピカルが無意識に反応しているのか...とすら思った。






さっきの子、随分心配してくれてた。



聞いてみればよかったかな。






......轟くんと...彼女のこと。












「......そんな余裕、ない......っ...。」












体力的にも、気持ち的にも限界がきて
私は駅を通り過ぎた先の公園にある、木の下にしゃがんだ。


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