相愛smell
□8話
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貴方side
「......はぁ...。
......本当...........らしくない...。」
水曜日の朝。
久しぶりに着た制服。
鏡の前で身形を整える中、思わずため息が出た。
自分でも、分かってるつもり。
私は、父さん似で結構ドライなとこがあるの...分かってる。
そういうのもあって、冷静に物事考えられる自信だってある。
..........のに。
..........久しぶりに轟くんに会うからって、こんなに緊張とか......する?
“......んー?
............そりゃあ......恋する女の子♡”
昨日のミキの言葉が浮かんで
ブンブンとわざとらしく頭を振る。
「......いやいや...たしかに恋はしてるけど。」
......私は多分、そんなに女の子らしい反応は出来ないから。
「...いってきます。」
母「いってらっしゃーい!
帰り、雨が降るかもしれないから、気をつけてね!」
元気に手を振る母さんに軽く手を振り返して
トボトボと歩きだして、約20分。
「......駅って...こんなに近かったっけ...。」
時間的にはバッチリなんだけどさ。
「......会いたいんだけど。
...もちろん、会いたいんだけど。」
......なんか、歩きにくいの...なんで...。
緊張のせいか重い足を動かして
いつものホームまで歩こうとした時だった。
轟「...お。......香野!!」
「..........っ!!?///」
後ろから声をかけられて
ビックリしながらも、反射的に振り返る。
声をかけてくれたのは、もちろん轟くんで
突然過ぎるご本人の登場に慌てないわけがない。
とりあえず何か反応しないと、と
小さく手を振ってみると、轟くんはそれを見て走って来てくれた。