相愛smell

7話
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貴方side



ミキが帰ったのとほぼ同時に
父さんが、買ってきたイチゴ牛乳を持ってきてくれた。





ひとつあれば十分なのに、父さんは

数を聞いていなかったから。

と、紙パックのイチゴ牛乳を5つも買ってきた。







さすがに多すぎると思ったけど
買ってきてくれたんだから、もちろん文句なんて言わない。



1つだけ受け取って、残りは冷蔵庫に入れるよう頼むと
快く了承してくれた。









ベッドに座って、イチゴ牛乳にストローを通す。


一応冷やさないために、と布団を胸辺りまで引っ張って
轟くんからの返事を確認した。









『お前、完全にバカにしてるだろ。
俺がイチゴ牛乳飲んでるのは、ほとんど風邪の時。』









轟くんの恥ずかしそうにしている顔が浮かんで
思わず頬が緩む。




「......かわいいって思ってたの、バレたかな。」




イチゴ牛乳を飲みながら
片手でケータイを持って親指で文字を打ち込んでいく。






『してないしてない(笑)

ほら、ちゃんと飲んでるよ。』






ちゃんと証拠を送っておこうと思って
イチゴ牛乳を持ってる手も一緒に、写真で撮って送った。



背景がベッドの布団ってどうなんだろう...。



水色と淡い緑のボーダー柄。

......変ではない、はず。





とはいえ大丈夫なのか気になる...と少し不安になっていると








『俺が飲んでるのと同じやつだ。
それ、うまいから、オススメする。』








と、すぐに返事がきた。



写真の背景のことなんて、全く気になっていないようで
さっきまで気にしていた自分が、ちょっと恥ずかしくなる。







『オススメできるほど飲んでる?
なんか、かわいいね(笑)』







『それは完全にバカにしてる。』







『ごめん、ごめん。
でも、久しぶりに飲んだけど本当においしい。
好きになりそう。』







メールの返事を送って
また、イチゴ牛乳を一口飲む。



..........と、ここである事に気づいた。









「......え、私...今なんて送った...。」









慌てて読み返すと
イチゴ牛乳のこととはいえ、ちゃっかり
“好きになりそう”とか送ってしまっている。




...............きちんと主語を入れればよかった...!





すぐに返ってきた轟くんからのメールに
いろんな意味でドキドキする。


何度かためらいながらもメールを開いて読むと。














『俺もそれが1番好き。イチゴ牛乳の中では。
じゃあ同じだな、好み。』















「..........っえ...。」








思わず出た声に
誰もいないのに口を押さえた。




......轟くんのも、主語無い......。



...あ、でも、ちゃんと“イチゴ牛乳の中では”って書いてる...。







......というか......好み、同じ...って......。












「......う、浮かれるな、浮かれるな...。」












......これは、イチゴ牛乳のことだから...!


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