相愛smell

6話
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貴方side






この風邪、たしかに長期戦の予感がした。





したけど、さ...。










「.........長すぎやしませんか...。」










風邪、引いてから...もう4日が経ったんですが。




木曜日に風邪引いて、今日...月曜...。









「......訳分かんない。
久々引いたと思ったら...長すぎでしょ...。」











薬飲んでも、熱がずっと下がらなくて
母さんが心配して、出張中の父さんに何度も電話してた。


大丈夫だからって言ったのに...。








ぼんやりと、父さんが帰ってくるのが今日だと思い出しながら
もうすぐ電車が発車する時間だと、メール画面を開く。






風邪を引いてから毎日
朝の電車の時間だけ、轟くんとメールで連絡を取り合っていた。


もっと仲良くなって、お互いのことを知って。




そうしたら、きちんと告白することに決めた。





だから、風邪が治ったら。

...いつも通り、轟くんとたくさん話そうと思う。





受信メールの画面では
もうすでに5分ほど前に、轟くんからメールが来ていた。











『風邪、かなり長引いてるな。
家の場所、聞いておけばよかった。見舞い行けない。』











見舞いに行こうとしてくれてたのが嬉しくて
思わず、教えておけばよかった...なんて思ってしまう。







『そもそも、風邪引いたのが久しぶり。
うつしちゃうから、場所は教えない(笑)』








『じゃあ、治ったら聞く。
俺は風邪引いたら、甘いもの欲しくなるから、イチゴ牛乳とか飲む。』








電車に乗ってるこの時間帯は
ケータイを見てるからか、轟くんからの返事も早い。












「..........イチゴ牛乳...。

.......................かわいい。」












甘いの苦手そうなのに....意外。








『甘いもの欲しくなったら、イチゴ牛乳にしようかな。
治ったら、教える。轟くんの家も。
私にだけ聞くのは、さすがにズルい(笑)』








ここまで送って、ケータイの画面を閉じる。



目を瞑ってまた、起きるのは夕方になるんだろうな。








「...........教えてくれるのかな。」








出来るだけポジティヴな考えを頭に残したまま
私は眠った。






























父「......名無しー。

...ただいま。......入っていいか。」








父さんの声がして、目を覚ましたら
やっぱり、もう6時だった。


母さんがあんなに電話したんだ。



たぶん、心配してくれてた。











「............おかえり。......いいよ。」
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