相愛smell

5話
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貴方side




さっき、母さんが買い物に行った。




ってことは、もう夕方だ。







......ずっと、朝から寝てた...。







...1回も目が覚めてない。




ちゃんと寝てた割には、あまり回復した実感が無い。


.......というか、回復してない。







久々に引いたこの風邪が、長期戦になりそうな予感しかしない。







動くことすらダルくて
手を伸ばして届く距離にケータイを置いていて正解だと思った。



メールのアプリを開いて、朝から今までの受信メールを確認する。




...ミキとリョ―...マメも...。





いつものメンバーからは、気を遣ってか
昼休みに話したこととか授業とか
明るい話題のものばかりが送られていた。


いつもの2倍くらい遅い速度で
返事を打ち込んでいく。






3人に返事を返して、ふと下にスライドすると
朝の時間帯...丁度...電車が発車してしばらく経った時間に
轟くんからメールが届いていたことに気がついた。












『今朝、いつもの時間にいなかったけど、大丈夫か?』











......随分と短い、一文。






..........気、遣ってくれてる。



いきなり、なんの連絡もなく来なかったから
聞きたいこと...いっぱいあっただろうに...。










『うん。大丈夫。
ありがとう。ただの風邪だから。』










「......素っ気ない、かな...。」





でも、正直...文字を打ち込むのもしんどいから
これで精一杯なところもあるんだけど...。














風邪を引いたのは
いいタイミングだったかもしれない。















「......少し...考える時間も欲しかった。」









最近の私は...振り回され過ぎていた。




..............恋に。












「............らしくない。」











自分でも分かってる。



初めてのことだから、仕方ない...って
ミキ達には、そう言われそうだけど...そうじゃない。





こうも振り回されてしまうと
今まで出来ていた、簡単なことが...出来なくなる。












「......ミキの言ってた“少女漫画”。


................間違ってなかったかもしれない。」













長期戦。




個性とか、もう...どうでもいい。




轟くんを好きになったのは、紛れもない事実。

叶えたい、初恋。






長期戦になっても、なんでもいい。







叶えたい。


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