相愛smell

1話
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貴方side





行ってしまう。





絶対、あの人だ。







どうする...?










......追う...?......追わない...?










ミキ「...名無し?...何、ボーっとして...。」







「..........見つけた。」







ミキ「...え?...見つけた、って??」
















「..............運命の人...見つけた...。」
















ミキ「......っちょ、名無し...!?」






...見えなくなってしまう前に...!






確かめたかった。



信じてなかったから...余計に。










「......っ痛...!!」










走り出して、あと少しで歩いてるあの人に追い付く...と思った時に
サラリーマンの人にぶつかってしまって
地面にしゃがみ込んでしまった。




もう行ってしまった...!?




急いで顔を上げたら...。













?「............大丈夫か。」












追いつきたかったあの人が
目の前で、手を差し伸べてくれていた。



赤と白の髪は、丁度半分で別れてて
左右、色の違う目が...私を捉えてる。








?「......これ、落とした。」








そう言って、立ち上がった私に
電車の定期をそっと、握らせてくれる。






「......あ...り、がと...。」






広がる香りに、酔いそうにすらなって
小さく頭を下げたら、その人は笑って、行ってしまった。



香りがしたのは...あの人だけ...?



あの人は...私から何も、香りがしなかった?








妙に何も反応を見せなかったことに、疑問がいくつも浮かぶ。




だけど、あの人が私の“運命の人”であることは、明白だった。


明らかに、周りと匂いが違ってた。




















ミキ「...名無し!...急に走るからビックリし...た...。」








後ろからミキの声がしても
私はまだ、遠くにいる電車を待つあの人から、目が離せないでいた。










ミキ「......運命の人...あの子?」





「...............うん...。」










私が答えるのと、ほぼ同時に
マメのしんどそうな声と、リョ―のビックリしたみたいな声がした。











リョ―「......名無し、それ......難易度、高いんじゃねーの...?」











「..........難易度...?」







......難易度、って...何?




リョ―は、肩で息をしているマメの背中をさすりながら
遠慮気味に言った。




















リョ―「......だって、あの制服......。


......“雄英高校”のだぞ...。」




















「......ゆう、え...い.........って。」










......あの...雄英.......ですか...。


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