相愛smell

1話
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貴方side






“相愛smell”







代々受け継がれているその個性は
一族を滅亡させないための、赤い糸。



どこにいるかも、何をしているのかも分からない
“運命の相手”が、香りにして瞬時に分かる。














..........出会えれば。














「...って言われてから、もう3年が経った。」







朝の駅のホーム。



電車を待ちながら、中1の時に母さんから聞いた話を
ぼんやり、思い出す。









マメ「...範囲、広いよねぇ...。

言っちゃえば、世界中だよ...世界中。」









そう言って、マメは両腕を広げた。


身長が小さなマメが両腕広げても
人が多いホームで邪魔になんてならない。












リョ―「でも、見つかりゃ楽じゃん?

だって、向こうもその匂い?...するんだろ?」





「..........する...らしいけど。」













...なら、案外楽勝じゃね?





スマホの画面を見ながら、リョ―はケラケラ笑う。


一体何を見てるのか気になるけど
リョ―は高身長だから、画面を覗くのは無理そう。







...と言っても、オールマイトのニュースだと思うんだけど。


...すごく好きだから...オールマイト。











ミキ「いいじゃん!...一目惚れっぽいよ!」











ワンテンポ遅れて反応したミキは
見ていた手鏡をポーチに仕舞いながら、うっとりする。



それを見て、リョ―がにんまりとした。












リョ―「...ミキって見た目に似合わず乙女だねえー。」





ミキ「うるさい!...バカにしてるでしょ!」












3人に、話した時
ミキとマメは、目をキラキラさせて
“運命の相手”という言葉に、飛びつく勢いで反応した。


その辺、女子だな...って思うんだけど...。





ミキが、“運命の人っぽい人”を探しまくるせいで
私の周りの人みんなが、もうひとつの個性について知ってしまった。



そもそも、この個性は
幻の、とか...噂の、とか...そういうレベルで有名だったらしい。






だた、男子が告白の時に

「俺の匂い、どうですか!!!」

って聞いてくるのは、本当にやめてほしい。


















「......とにかく。

...私は......出会うまでは...信じない。」


















元々、私は自分の1番好きな匂いが何なのかも
分かってないんだ。



もしかしたら、運命の人とはもう出会ってて
私がそれに気づかず、スル―した...って可能性だってある。













ミキ「...まあ、こんな世の中だし...。

個性なんだから、ホントの話だと思うけどね。」












そう言って、ミキはキョロキョロして
“それっぽい人”を、また探す。



どうしてもミキは、私が運命の人に出会う瞬間に
立ち会いたいらしい。

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