心の容量

8話
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貴方side



敵に襲撃された次の日。



突然、臨時休校が決定したから
私はお母さんがいる病院に来た。




あれ以来、一度も目を覚まさないお母さん。




お父さんもいないから
私はずっと1人で暮らしてきた。


2人がヒーローとして活躍していた頃に
給料としてもらい、貯めていたお金を切り崩して過ごす日々。


お母さんの延命治療のために
最低限の生活費を心がける。



初めは苦労したけど
今ではもう、そんな生活にも慣れてしまった。







「...お母さん...。」






言いたいことが、話したいことが
たくさん、たくさんあるのに。



眠るお母さんに話すのは
聞こえてるのか分からなくて
...すごく、不安なのに。







きっと私の願いは、叶わない。







そう、思ってしまう。




けれど、そんなことはない。


絶対に...お母さんは目を覚ます。




そう、毎日..........願う。



















今日も、ベッドの隣にイスを置いて
そこに座って話しかける。


といっても、話すネタなんて
すぐに尽きてしまうわけで。








「......私ね......。

.......好きな人、できちゃった......。」







......これこそまさに
眠ってるお母さんに言うのは少し不安だなぁ。






「...お母さんとお父さんの出会いとか...聞いておけばよかったなぁ...。」






2人とも毎日毎日忙しかったから
そんな話聞けてない。



話が出来る時間には
自分で考えてた攻め方とかを
プロ目線として2人に見てもらってた。




...もう少し、女の子らしさとかについて
お母さんに聞けばよかった...。




......女の子らしさって、どんなの?



...家事が出来る...とかじゃダメかな...。






...轟くんは、どんな女の子が好みなんだろう...。






「......って、ごめんお母さん!

...ここでする話じゃないのに、私...考え込んじゃって...!」





私が慌てて言っても
お母さんは、静かに目を閉じたまま。










「...私、待ってるからね。」









もう、ヒーローに戻れなくても。



......なんだっていい。



...なんだっていいから、お母さんと

...........話が、したいよ.........。

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