心の容量

1話
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貴方side




やっぱり、ヒーローに詳しい子っているんだなぁ。




って、改めて思った。





クラスに1人か2人。


いわゆる、“ヒーローバカ”、“ヒーローオタク”って呼ばれる子がいるけど...。



このクラスじゃ、彼がそうなのかな。









私が中学のとき
父は死んで、母は意識不明の重体に。



けど、母の勤めてた事務所は
意識不明、ではなくて

.....“死亡”と、メディアに伝えた。







だから、彼が知ってるのは
私の母「安眠ヒーロー、スリーパーの死」。



どっちかと言うと
父より母の方が、有名だったもんね。










なんだか、妙な空気になってしまった教室。



変にシンとしてしまって
私は慌てて言った。





「と、とりあえず。

ヒーロー目指して頑張るので
よろしくお願いします。」





無事?に自己紹介を終えて
クラスのみんなは、パラパラと拍手してくれる。





相「んじゃ、哀瀬の席は...八百万の後ろな。

そこの列だけ6人だ。
悪いけど、少し詰めてくれ。」





相澤先生が指差した席を見た。


1番後ろで、ひとつだけ
ポツリと空の席。






その席に向かう途中、同じ列の子に
すごく睨まれたり、ニヤニヤされた。



さっきの物知りな子もいて
隣を通ると、申し訳なさそうに頭を下げたから
“大丈夫です”と、伝えた。









21人だから、私の隣の席には
もちろん、誰もいない。






「......ぇ、えと......よろしく。」






とりあえず、誰かと仲良く...!




そう思って、前の席の2人に声をかけた。






2人とも、私の声に振り返ってくれて





八「八百万、百ですわ。

......よろしくお願いします。」





轟「.........轟、焦凍だ。」





と、名前まで教えてくれた。




「......八百万さんに、轟くん。」




名前は間違いなく覚えようと、繰り返して言う私を見て
八百万さんは、クスクス笑った。








八「“もも”でも、構いませんよ?

八百万、なんて長いですし。」








「...........!!
じゃ、じゃあ...もも、で。」





八「..........!

...なら、私は“名無し”で。」




さっそく、友達が出来て
ここからがスタートラインだと
私は意気込んだ。












轟「..................................。」


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